ワクチンの接種で、高齢者の感染が10万人減り、致死率が半分以下に
高齢者の感染が10万人も減った!?
新型コロナウイルスのワクチンは、どれぐらい効果があるのでしょうか。
具体的なデータを探すと、政府の専門家会議で「ワクチンの効果により、7月と8月で、推定10万人以上の高齢者の感染を抑制した可能性がある」という資料が公開されていました。
新型コロナウイルス感染症に感染した人を10万人も減らしたとすれば、それはかなり大きな効果です。
公開された資料をもとに、ワクチンの効果について裏付けを見ていきましょう。
高齢者の感染を減らすことができた
日本では、新型コロナウイルスのワクチンは、「65歳以上」の高齢者を優先して接種されました。
今回の推定では、ワクチンの接種が進んだ「65歳以上」と、接種が進んでいない「65歳未満」の違いに注目しています。
この2つを比べると、新規陽性者の増加率に大きな差があります。
例えば、6月から7月にかけて、「65歳未満」では陽性者が「2.95倍」に増えました。
しかし、同じ時期に「65歳以上」では、陽性者は「0.86倍」に減っています。
実際にグラフを見ても、両者の増え方に大きな差があることが分かります。
もし、ワクチンがなければ、「65歳以上」の新規陽性者は、「65歳未満」と同じように増えていたでしょう。
その場合、7月と8月の「65歳以上」の陽性者数は「約13万人」になっていたと推定されます。
7月と8月の実際の陽性者数は「約3万人」でしたから、差し引きで約10万人の感染を避けられたことになります。
「10万人」という数字だけ聞くと、大げさに感じるかもしれませんが、1カ月で50万人以上の新規陽性者が発生した8月の規模を考えると、それほど無理のない数字なのです。
「致死率」が半分から3分の1になった
新型コロナウイルスのワクチンの効果は、感染を避けることだけではありません。
感染してしまった場合でも、重症になるのを防ぎ、死亡する可能性を減らすことができるとされています。
今回の推計では、これについても事実であることが分かりました。
2021年4月から7月の「致死率」を計算すると、ワクチンの接種が進んだ6月以降に、高齢者の致死率が大きく下がったことが分かります。
特に致死率が高い「90歳以上」では、4月には「16%」だった致死率が、7月には「5%」と、3分の1に下がりました。
致死率が低い「65~69歳」でも、4月の「2%」から、7月には「1%」と、半分になりました。
ワクチンの接種率は、もうすぐ50%
9月9日現在で、ワクチンを2回接種した人は、国民の49.8%にあたります。
もうすぐ50%に届く状態です。
ここまで見てきたように、ワクチンの接種が優先されてきた「65歳以上」については、ワクチンによって感染した人が減り、感染したとしても死亡する人が減りました。
「65歳未満」についても、もう少しワクチンの接種が進むと、感染する人や死亡する人が減ることが期待できます。
もし、あなたが、ワクチンの接種を避けているのであれば、もう一度、接種することを検討してみてください。