新型コロナの影響で、「調剤薬局」が過去最多の倒産
「調剤薬局」の倒産が過去最多に
企業情報会社の東京商工リサーチが、「調剤薬局」の苦境を伝えています。
「調剤薬局」は、医師が書く「処方箋」(しょほうせん)という書類に基づいて医薬品を販売する薬局です。
その「調剤薬局」の倒産が、2021年1月から8月までで「22件」に上りました。
「調剤薬局」の倒産件数は、2017年の17件が最多でした。
今年度は、8月の段階で、それを超えており「過去最多」となっています。
「処方箋」が減ると、売上が減る
東京商工リサーチでは、「調剤薬局」の倒産が増えた理由を、新型コロナウイルスの影響としています。
「調剤薬局」は処方箋に基づいて、医薬品を提供するため、病院で受診する人が減ると売上が減ってしまいます。
厚労省によると、2020年度に調剤に使われた医療費は、前年度よりも2.6%減りました。
また、売上に直結する処方箋の枚数も、前年度比より9.2%減りました。
つまり、新型コロナ禍で病院を受診する人が減り、それが「調剤薬局」の倒産に結びついているのです。
また、新型コロナウイルス対策として行なわれた、マスクや手洗いなどで、冬のインフルエンザなどの疾患が減ったことも響いたとしています。
一般薬局やドラッグストアは好調
一方、一般向けの医薬品を販売する一般薬局やドラッグストアの倒産は、前年度を下回っています。
特に、医薬品だけでなく日用品も扱うドラッグストアの倒産は0件です。
これは、新型コロナウイルスの流行により、マスクや消毒液などの販売が伸びたことが原因としています。
そして、ドラッグストアの場合、外出自粛の「巣ごもり需要」によって、食料品などの販売も伸びました。これが、好調な業績につながっています。
さらに、ドラッグストアの中には、1つのコーナーとして「調剤薬局」を併設する例も増えています。
薬剤師が常駐するなど「専門性」の高さを武器に戦ってきた「調剤薬局」ですが、その専門性までドラッグストアに取り込まれては、厳しい戦いを強いられることになるでしょう。