「第3波」「第4波」と大きく変わった、「第5波」の特徴
東京都がレポートを公開
東京都が、新型コロナウイルス感染症の「第5波」についてレポートを公開しています。
このレポートでは、「第3波」や「第4波」と比較することで、「規模は大きかったが、致死率が大幅に下がった」という「第5波」の特徴が明らかになりました。
なお、この記事では、「第~波」という言葉を、次のように使っています。
- 第3波:2021年1月に新規陽性者数がピークだった流行期
- 第4波:2021年5月に新規陽性者数がピークだった流行期
- 第5波:2021年8月に新規陽性者数がピークだった流行期
第5波は、過去の2~3倍の大きさ
「新規陽性者数」をグラフにすると、「第5波」が大きな流行期であったことが分かります。
第3波や第4波に比べると、「第5波」は2倍~3倍の規模がありました。
重症者数も2~3倍
次に「重症者数」で比べて見ましょう。
「重症者数」も、「第5波」は、第3波や第4波の2倍~3倍の規模があります。
大きく減った死亡者
しかし、「死亡者数」で比べると、「第5波」の特徴が分かります。
「第5波」の死亡者は、第4波よりは多いのですが、第3波よりも少なくなりました。
新規陽性者が、2~3倍に増えているのに、死亡者数は減っているのです。
致死率が下がった「第5波」
「第5波」の特徴を見るために、今度は「致死率」で見てみましょう。
「致死率」は、「死亡者数」を「新規陽性者数」で割った数字です。
第3波の致死率は「1.70%」でした。
しかし、第5波では「0.31%」まで下がっています。
実に、第3波の5分の1に減っています。
致死率が高い「60歳以上」に限ってみても、第3波の「7.65%」から、第5波は「3.65%」へと、半分以下に下がっています。
つまり、「第5波」では、新型コロナウイルスに感染しても、死に至ることが少なくなりました。
そのため、新規陽性者(患者)の数が、2~3倍に増えても、死亡者数は減ったのです。
ただし、残念なことに、新規陽性者が重症者になる「重症率」は、変わっていません。
つまり、「第5波」では、感染しても死ぬことは減りましたが、重症になる確率は変わっていません。
「重症」とはギリギリの状態
第5波で致死率が下がった理由は、今の時点では明らかではありません。
おそらく、ワクチンの接種率が上がったことや、流行が長くなったために治療方法が進歩したことなどが原因と想像されます。
いずれにしても、「致死率」が下がったことは、喜ぶべきです。
ただし、忘れてはいけないのは、「第5波」でも「重症率」は下がっていないことです。
東京都の重症者の定義は「ECMO(エクモ)を含む、人工呼吸管理が必要な患者」です。
一言で言えば、普通の呼吸では生命が維持できず、気管や血管につないだ機械によって死なないようにしている状態です。
新型コロナウイルスで死んでしまう確率が下がったとはいえ、そういう状態に追い込まれる可能性は減っていません。
「緊急事態宣言」が解除されたとはいえ、くれぐれも感染しないように、日常的な予防は続けてください。