新型コロナによる企業破綻が9月に増加。「大都市」「飲食業」「小規模」が特徴

[2021/10/6 00:00]

9月は160件が破綻

企業情報サービスの東京商工リサーチは、新型コロナウイルスが原因で、9月に破綻(はたん)した企業が最多を更新したと発表しています。

東京商工リサーチによれば、2021年9月に、新型コロナウイルスが原因で経営が破綻した企業は「160件」に上ります。

これは今年に入ってから、もっとも多い件数でした。

そして、新型コロナウイルスを原因とする企業破綻は、累計で2,054件となりました。

どんな企業が、新型コロナウイルスによって破綻しているのか、破綻した企業のデータから紹介します。

「東京」は全体の2割以上

破綻した企業の所在地で、一番多いのは「東京」です。

そして、「大阪」「神奈川」「愛知」と大都市圏が続きます。

これらの大都市は、「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」などの指定を受けた期間が長く、企業への負担が大きかったのです。

出典:東京商工リサーチのデータをもとに編集部が作成

「飲食業」が最多

破綻した企業の業種で、一番多いのは「飲食業」です。

「飲食業」は、時短営業、酒類提供の制限など、新型コロナ対策の影響を大きく受けました。

すでに、体力を消耗している企業も多く、さらに破綻が増加する可能性があります。

そして、「建設業」「アパレル(衣料)」が続きます。

出典:東京商工リサーチのデータをもとに編集部が作成

「5千万円未満の負債」が最多

この調査で対象としているのは、負債総額が1千万円以上の企業です。

破綻企業の負債で一番多いのは「1千万円~5千万円」でした。

規模が小さい企業が、あまり大きくない負債で破綻した例が多いのです。

出典:東京商工リサーチのデータをもとに編集部が作成

「従業員数5人未満」の小さい企業が多い

破綻した企業の従業員数は、「5人未満」が半分以上を占めます。

従業員数が20人以上の企業は12%しかありません。

従業員数で見ても、新型コロナウイルスによる破綻は、小規模な事業者に集中していることが分かります。

出典:東京商工リサーチのデータをもとに編集部が作成

「緊急事態宣言」が終わっても、破綻は続く

新型コロナウイルスによって不調となった企業を救うために、国や都道府県は補助金を支給したり、無利子無担保で借金ができる制度を用意しました。

しかし、新型コロナウイルスの流行が長引くにつれて、それらの制度も終わりを迎えつつあります。

また、営業を続けるために、借金(負債)が増えた企業が多く、過剰債務と呼ばれる破綻しやすい状態になっています。

幸い、9月いっぱいで「緊急事態宣言」などが解除されました。

しかし、新型コロナウイルスの流行が一段落ついても、まだ、企業の体力は回復していません。

もうしばらく、新型コロナウイルスを原因とする企業の破綻が続くことでしょう。

[シニアガイド編集部]