「新型コロナウイルスの後遺症に関するガイドブック」を無償公開
[2021/12/6 00:00]
何カ月も続く「新型コロナの後遺症」
新型コロナウイルス感染症の流行は、「第5波」が過ぎて落ち着いた状態にあります。
しかし、新型コロナウイルス感染症に感染してから何カ月経っても、「後遺症」に悩んでいる人が少なくありません。
例えば、倦怠感、息切れ、不眠、嗅覚/味覚障害などの症状です。
今回、厚労省の会議において、新型コロナウイルスの後遺症に関する手引きが公開されました。
これは、医療関係者を対象に、後遺症の症状や、その対処方針などを解説したものです。
医療対象者を対象としたものですが、実際に後遺症に悩む人にとっても、症状の改善に役立つ知識が掲載されています。
症状ごとに対処方針を紹介
手引の正式名称は「新型コロナウイルス感染症 診療の手引 別冊 罹患後症状のマネジメント」と言います。
公開されているPDFファイルは、A4版30ページです。
内容は、症状ごとに「呼吸器」「循環器」「嗅覚/味覚」「精神/神経」「痛み」について、その対処方針が紹介されています。
また、「小児」や「リハビリテーション」「産業医学」などについても触れられています。
2週間経っても治らないときは専門医に
一例として、「嗅覚/味覚」の症状についての対応を見てみましょう。
内容は1ページにまとめられ、次のような治療方針が示されています。
- 嗅覚・味覚障害を訴える患者に対しては、発症後10日間は感染リスクを考慮して経過観察とする。
- 2週間以上経過しても改善しない場合は,嗅覚障害,味覚障害の診断が行なえる耳鼻咽喉科専門医を紹介する。
- 嗅覚障害が遷延する患者のほとんどが、感冒後嗅覚障害と類似していることから,嗅神経性嗅覚障害となっているものと思われる。
どこまで分かっているかが把握できる
新型コロナウイルス感染症の後遺症については、未知の部分も多く、今回の手引きも「暫定版」とされています。
しかし、この手引きは、各分野の専門医の知見をコンパクトにまとめてあるので、何が分かっていて、何が分かっていないかが把握できます。
もし、あなたや、あなたの身近な人が、新型コロナウイルスの後遺症で悩んでいるのであれば、目を通してみることをおすすめします。