最後の子供が別居する「エンプティネスト」の時期は、「50代後半」から「60代前半」
親と子の「同居」と「別居」
子供が親元を離れて、別の世帯に暮らし始めることを「離家(りけ)」と言います。
また、すべての子供が離家し、親元の世帯が夫婦だけになることを「エンプティネスト(空の巣:からのす)」と言います。
この記事では、国立社会保障・人口問題研究所のデータを使って、「離家」と「エンプティネスト」が、いつごろ訪れるのかを紹介します。
子供が家をでていく時期は、男女で差がある
まず、子供が、いつ「離家」を行なうのかを見てみましょう。
グラフを見ると、男女とも「20代」に離家している人が多いことが分かります。
男性の方が少し早く、「20代前半」から始まり、「20代後半」までで落ち着きます。
女性は、「20代後半」が中心で、「30代後半」まで増え続けます。
国立社会保障・人口問題研究所では、「結婚前離家は男性の方が多く、結婚が増える30歳代以上では息子夫婦との同居が選好される直系家族的規範の影響が継続していることが考えられる」と分析しています。
つまり、就職などで親元を離れるのは男性が多く、結婚によって家を出るのは女性の方が多いということです。
親元が夫婦だけになるのは「50代後半」から「60代前半」
次に、親のほうから「エンプティネスト」の時期を見てみましょう。
すべての子供と別居している親の割合は、「50代後半」から増え、「60代前半」まで続きます。
つまり、50代から60代にかけてが、「エンプティネスト」の時期と言えるでしょう。
この時期は、「エンプティネスト・シンドローム(空の巣症候群)」と呼ばれる、子育てが終わったことによる喪失感に気を付ける必要があります。
親が「70代後半」になると、再び同居が増える
最後に、子供が親元を離れず、ずっと子供と同居している親の割合を見てみましょう。
「50代後半」になると、子供と同居している親の割合が50%を切ります。
つまり、子供と同居している親の方が少なくなります。
そして、「70代前半」まで、子供と同居している割合は下がっていきます。
しかし、「70代後半」になると、再び、子供と同居する親が増えていきます。
その理由を国立社会保障・人口問題研究所では、「これは死別による配偶者の不在や、加齢による介護・介助の必要性などが背景にあると考えられる」と分析しています。
つまり、生き残った片方の親や、介護が必要になった親を、子供が引き取って同居を始めているのです。
そのような理由により、「85歳以上」になると、再び、子供と同居している親が50%を超えて、55%に達しています。
いったん親元を離れて別居したとしても、親の状況が変わることによって、再び同居を始める事例が少なくないことは覚えておいて良いでしょう。