東京23区の30代人口流出が増加したのはなぜか

[2022/2/12 00:00]

23区の人口減少の理由を考察

不動産評価Webサイト「TAS-MAP」を運営するタスが、「賃貸住宅市場レポート 2022年1月」を公開しています。

このレポートでは、「東京23区の30代人口流出が増加した理由」を考察しています。

23区の新築は「高嶺の花」

タスによる考察は次の通りです。

直近の東京23区の平均物件価格は、新築マンションが約8,000万円、新築戸建てが約7,200万円、中古マンション・中古戸建て・新築小規模戸建てが約6,300万円です。

新築マンションについては従業員1,000人以上企業の35~39歳カップルを除き、パワーカップルでも購入が厳しくなりつつあります。

新築戸建て・新築小規模戸建てについては、パワーカップルであればまだ余裕をもって購入できます。

パワーカップル以外の世帯にとって東京23区の新築は、小規模戸建て以外は高嶺の花になりつつあります。

東京市部や周辺3県では、新築マンションの価格は5,000万円前後です。

東京23区で新築マンションの購入が厳しくなってきた世帯年収が600~999万円の世帯(東京23区の世帯主が30代世帯の30%)が、郊外部では新築マンションを無理なく購入することが可能です。

2020年度に東京23区では30代の人口の減少幅が拡大していますが、テレワーク利用が拡大したというより、物件価格が高騰したことが理由と考えるのが妥当でしょう。

出典:タス

4月と5月の動きに注目

東京都の人口は、2020年から減少が続いており、2021年には23区だけで1万4千人も減りました。

一般には、新型コロナウイルス感染症に伴うテレワークの普及が人口減少の理由とされています。

しかし、タスでは、共稼ぎで2人とも年収が高い“パワーカップル”でさえも購入をためらうほどの「物件価格の上昇」が大きな理由であると指摘しています。

なにごとも、新型コロナウイルス感染症に結びつけがちな現状において、貴重な視点でしょう。

なお、タスによれば、東京23区の単身者向け賃貸住宅の空室は減りつつあります。

23区における賃貸市場は、分譲住宅とは異なる動きを示しています。

東京都の人口は、新年度を迎えた4月と5月に増加する傾向があります。

「まん延防止等重点措置」が続く東京において、今年も例年通りに、進学や就職に伴う人口増加があるかどうかが注目されます。

出典:タス
[シニアガイド編集部]