「早期・希望退職」を募集した上場企業は84社。少なくとも1万5千人が対象
リーマンショック後と似た状況
企業調査会社の東京商工リサーチによれば、2021年に「早期・希望退職」の募集を行なった上場企業は「84社」でした。
募集企業は2年連続で80社を超えており、リーマンショック直後以来の厳しい状況です。
なお、募集企業の4割以上は黒字でした。
「早期・希望退職」は、赤字企業の再建策ではなく、本来の意味でのリストラ(組織再編)として積極的に行なわれるようになっています。
約2千人の大規模な募集も
「早期・希望退職」を募集した企業の業種の上位は、次の通りです。
- アパレル/繊維製品
- 電気機器
- サービス
- 運送
- 食料品製造
- 自動車関連
アパレルでは「三陽商会」の180人、電気機器では「パナソニック」の約1,000人、サービスでは「KNT-CTホールディングス(近畿日本ツーリストなど)」の1,376人などが代表例です。
また、自動車関連の「ホンダ」の約2,000人のように、大規模な募集も行なわれています。
4割以上が黒字企業
募集企業の56%は、直近の決算が「赤字」でした。
アパレル、観光業、外食、空運/鉄道など、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた分野では、すべて赤字です。
しかし、募集企業の44%は、直近の決算が「黒字」なのに「早期・希望退職」を募集しています。
例えば「ホンダ」では、「平均年齢の是正、世代交代により活性化図る」としており、将来的な事業動向の変化を先取りする形で、「早期・希望退職」を募集しています。
「早期・希望退職」が増えた理由は、新型コロナなどの業績不振だけではなく、将来的な業界の変化も理由になるのです。
上場企業で、会社が黒字でも安心してはいけない
2020年と2021年の傾向を見ると、「上場企業」であり、決算が「黒字」であっても、「早期・希望退職」が行なわれる例が増えています。
つまり、勤め先の会社が上場企業であり、業績が悪くない状況であっても、ある程度以上の年齢を対象にした「早期・希望退職」がいつ行なわれても不思議ではないということです。
また、「早期・希望退職」の対象となる年齢は40代が中心ですが、「35歳以上」と若い例も珍しくありません。
会社が大きいから、黒字だからと油断せずに、もし「早期・希望退職」があったらと仮定して、自分の取る進路を考えておきましょう。