東京都内で子供の出生率が高い地域、低い地域
将来の人口を知るための「合計特殊出生率」
将来の人口を考えるときに、重要な数字が「合計特殊出生率」です。
「合計特殊出生率」は、1人の女性が一生の間に生む子供の数を示す数字です。
ここでは、現在の人口を維持するためには、「合計特殊出生率」は「2.07」以上が必要とだけ覚えてください。
しかし、2020年の日本の「合計特殊出生率」は「1.33」しかありませんでした。
日本の人口は将来的には、減少していくことが、はっきりと分かります。
東京都ではさらに低く「1.12」しかありません。
東京都は、全国でも飛び抜けて「合計特殊出生率」が低い地域で、外からの流入がないと、人口が維持できない地域なのです。
「合計特殊出生率」が高い「三宅村」
さらに、同じ都内であっても、「合計特殊出生率」には大きな差があります。
「合計特殊出生率」が都内で一番高いのは、島部に属する三宅島の「三宅村」で2.07あります。
さきほど見たように、2.07という数字は、人口を維持できる数字です。
つまり、三宅村は、地域内の出生だけで、いまの人口を維持できることになります。
2番目も島部の「小笠原村」、3番目は郡部の「檜原村」でした。
4位以下も「神津島村」「八丈町」「大島町」と、島部の地域が並びます。
「合計特殊出生率」が、全国平均の1.33よりも高い地域は、区部では「中央区」と「港区」、市部では「武蔵村山市」「稲城市」「日野市」だけです。
合計特殊出生率が全国平均よりも高い地域
- 1:三宅村 2.07
- 2:小笠原村 1.97
- 3:檜原村 1.86
- 4:神津島村 1.83
- 5:八丈町 1.78
- 6:大島町 1.58
- 7:新島村 1.46
- 8:中央区 1.43
- 9:武蔵村山市 1.37
- 10:稲城市 1.37
- 11:港区 1.34
- 12:日野市 1.33
合計特殊出生率が計算できない「利島村」
逆に「合計特殊出生率」が低い地域を見てみましょう。
一番低いのは「利島村」で、合計特殊出生率が計算されていません。
「利島村」は人口が少ないので、この年は出産がなかったと思われます。
数字がある中で一番低いのは、「青ヶ島村」で0.36でした。
2番目も島部の「御蔵島村」ですが、3番目は区部の「豊島区」でした。
区部は合計特殊出生率が低い地域が多く、「中野区」「新宿区」「杉並区」「世田谷区」「目黒区」は、1.00を切っています。
合計特殊出生率が低い地域
- 1:利島村 ー
- 2:青ヶ島村 0.36
- 3:御蔵島村 0.63
- 4:豊島区 0.91
- 5:中野区 0.97
- 6:奥多摩町 0.97
- 7:新宿区 1.00
- 8:杉並区 1.00
- 9:世田谷区 1.00
- 10:目黒区 1.02
- 11:瑞穂町 1.02
引越し先の「合計特殊出生率」を調べよう
ここまで見てきたように、合計特殊出生率は、区部/市部/郡部/島部などの種別や、人口の多寡には左右されません。
例えば、合計特殊出生率が、一番高いのも一番低いのも島部でした。
つまり、「島部だから高い」とか「島部だから低い」とひとまとめにできません。
同じように、同じ区部でも「中央区」のように全国平均を超える高い地域もあれば、「中野区」や「豊島区」のように、極端に低い地域もあります。
それぞれの地域の条件によって、合計特殊出生率は異なるのです。
合計特殊出生率は、出生可能な年齢の女性の比率、独身率、育児のサポート体制など、さまざまな要素に影響されます。
そのため、合計特殊出生率が高いから子育てがしやすいとか、低いから子供を育てにくいと言い切ることはできません。
ただし、合計特殊出生率が高い地域は、子供を生んで育てる決心をした女性の割合が高いことは事実です。
もし、子供を産むことを考えているならば、上京して住まいを探す場合や、都内で引っ越しをするときに、その地域の「合計特殊出生率」を調べてみることをおすすめします。