東京都内で子供の出生率が高い地域、低い地域

[2022/3/17 00:00]

将来の人口を知るための「合計特殊出生率」

将来の人口を考えるときに、重要な数字が「合計特殊出生率」です。

「合計特殊出生率」は、1人の女性が一生の間に生む子供の数を示す数字です。

ここでは、現在の人口を維持するためには、「合計特殊出生率」は「2.07」以上が必要とだけ覚えてください。

しかし、2020年の日本の「合計特殊出生率」は「1.33」しかありませんでした。

日本の人口は将来的には、減少していくことが、はっきりと分かります。

東京都ではさらに低く「1.12」しかありません。

東京都は、全国でも飛び抜けて「合計特殊出生率」が低い地域で、外からの流入がないと、人口が維持できない地域なのです。

全国と東京都の合計特殊出生率 出典:東京都

「合計特殊出生率」が高い「三宅村」

さらに、同じ都内であっても、「合計特殊出生率」には大きな差があります。

「合計特殊出生率」が都内で一番高いのは、島部に属する三宅島の「三宅村」で2.07あります。

さきほど見たように、2.07という数字は、人口を維持できる数字です。

つまり、三宅村は、地域内の出生だけで、いまの人口を維持できることになります。

2番目も島部の「小笠原村」、3番目は郡部の「檜原村」でした。

4位以下も「神津島村」「八丈町」「大島町」と、島部の地域が並びます。

「合計特殊出生率」が、全国平均の1.33よりも高い地域は、区部では「中央区」と「港区」、市部では「武蔵村山市」「稲城市」「日野市」だけです。

合計特殊出生率が全国平均よりも高い地域

  • 1:三宅村 2.07
  • 2:小笠原村 1.97
  • 3:檜原村 1.86
  • 4:神津島村 1.83
  • 5:八丈町 1.78
  • 6:大島町 1.58
  • 7:新島村 1.46
  • 8:中央区 1.43
  • 9:武蔵村山市 1.37
  • 10:稲城市 1.37
  • 11:港区 1.34
  • 12:日野市 1.33

合計特殊出生率が計算できない「利島村」

逆に「合計特殊出生率」が低い地域を見てみましょう。

一番低いのは「利島村」で、合計特殊出生率が計算されていません。

「利島村」は人口が少ないので、この年は出産がなかったと思われます。

数字がある中で一番低いのは、「青ヶ島村」で0.36でした。

2番目も島部の「御蔵島村」ですが、3番目は区部の「豊島区」でした。

区部は合計特殊出生率が低い地域が多く、「中野区」「新宿区」「杉並区」「世田谷区」「目黒区」は、1.00を切っています。

合計特殊出生率が低い地域

  • 1:利島村 ー
  • 2:青ヶ島村 0.36
  • 3:御蔵島村 0.63
  • 4:豊島区 0.91
  • 5:中野区 0.97
  • 6:奥多摩町 0.97
  • 7:新宿区 1.00
  • 8:杉並区 1.00
  • 9:世田谷区 1.00
  • 10:目黒区 1.02
  • 11:瑞穂町 1.02

引越し先の「合計特殊出生率」を調べよう

ここまで見てきたように、合計特殊出生率は、区部/市部/郡部/島部などの種別や、人口の多寡には左右されません。

例えば、合計特殊出生率が、一番高いのも一番低いのも島部でした。

つまり、「島部だから高い」とか「島部だから低い」とひとまとめにできません。

同じように、同じ区部でも「中央区」のように全国平均を超える高い地域もあれば、「中野区」や「豊島区」のように、極端に低い地域もあります。

それぞれの地域の条件によって、合計特殊出生率は異なるのです。

合計特殊出生率は、出生可能な年齢の女性の比率、独身率、育児のサポート体制など、さまざまな要素に影響されます。

そのため、合計特殊出生率が高いから子育てがしやすいとか、低いから子供を育てにくいと言い切ることはできません。

ただし、合計特殊出生率が高い地域は、子供を生んで育てる決心をした女性の割合が高いことは事実です。

もし、子供を産むことを考えているならば、上京して住まいを探す場合や、都内で引っ越しをするときに、その地域の「合計特殊出生率」を調べてみることをおすすめします。

[シニアガイド編集部]