移住者経験者の半分以上が転職をしていない
8千人を超える移住経験者へのアンケート
シンクタンクのパーソル総合研究所が「地方移住に関する実態調査」の結果を公開しています。
この調査は、社会人になって以降に、自分の意思で都道府県をまたぐ「移住」を経験した就労者を対象としています。
2021年3月に行なわれたインターネット調査は、20代~60代の男女8,866人が回答しています。
なお、パート/アルバイトで働いている人は、対象としていません。
「Iターン型」が4割、「Uターン型」が2割
移住には、移住した地域との関係によって、いくつかのタイプがあります。
もっとも多いのは、故郷とは別の地域に移住する「Iターン型」でした。
回答者の4割弱を占めています。
次に、故郷の市町村に移住する「Uターン型」が続きます。
こちらは、回答者の2割以上を占めています。
「Iターン型」と「Uターン型」で、回答者の半分以上になるので、この2つが代表的なタイプと言って良いでしょう。
そして、生活拠点を持ちつつ、他の拠点との間を行き来する「多拠点居住型」が2割弱でした。
配偶者の故郷などに移住する「配偶者地縁型」や、故郷に近い地方都市に移住する「Jターン型」も、1割を超えています。
幸せな移住は「Uターン型」と「配偶者地縁型」
移住後の地域における暮らしについて、「その地域に住むこと自体に幸せを感じているか」を5段階で評価しています。
「Uターン型」や「配偶者地縁型」は評価が高く、「Jターン型」「Iターン型」「多拠点居住型」は評価が低い傾向が見られました。
Uターン型や配偶者地縁型は、その他の移住タイプに比べ、移住後の地域における情報や人脈を持っていることが多いのが影響しているのでしょう。
「Jターン型」や「Iターン型」では、理想と現実のギャップに衝撃を受ける「リアリティショック」や「孤立」などの可能性が心配されます。
「転職をしていない」が半分以上
移住に伴って転職をしなかった人が、意外に多く、半分を超えました。
移住には転職が伴なうと考えやすいのですが、実際には「転職しない移住」も多いのです。
また、移住に伴なう年収の変化も、「変化なし」という人が半分以上います。
移住の目的や手段にもよりますが、今の職を維持し、収入の変化もないという人が多くを占めていることは覚えておいて良いでしょう。
すべてを捨てなくても「移住」はできる
「移住」という言葉には、「現在の住まいと職を離れ、見知らぬ土地で経験のない仕事をする」というイメージがあります。
しかし、今回の調査では、「今の仕事を続け、収入も変化しない人が多い」「地縁や人脈がある場所の方が幸せになりやすい」という、意外な結果となりました。
つまり、今の生活を捨てて、新しい生活を目指すのではなく、すでに手にしている職や人脈を生かしている人が多いのです。
この違いは、「移住」すること自体が目的なのではなく、何かを解決するための手段として「移住」を選んでいるためでしょう。
もし、あなたが「移住」を考えているのであれば、今の生活から何を引き継ぎ、何を改めるのかを検討することが、成功への近道でしょう。