自宅で死亡した新型コロナ患者のプロフィール
自宅での死者が多い「新型コロナ」
新型コロナによる死者は、病院や施設だけではなく、自宅でも発生します。
軽い症状で自宅療養していた人が、誰にも看取られずに死亡する例が少なくありません。
この記事では、厚労省が行なった調査結果をもとに、自宅で死亡した人が、どのような状況だったのかを探ります。
死者の3分の2が男性
調査の対象となったのは、2022年1月1日から3月31日までに、自宅で死亡した555人です。
死者の性別は、「男性」が63%、「女性」が37%でした。
男性の方が多く、全体の3分の2を占めます。
60代以上が9割を占める
死者の年齢は、「80代以上」がもっとも多く、半分以上を占めています。
そして、60代以上の高齢者が、全体の9割を占めています。
基礎疾患を持つ死者が6割
自宅で死亡した人のうち、糖尿病などの基礎疾患を持っている人が6割を超えます。
基礎疾患を持っている人が感染すると、重症になりやすいと言われますが、それを裏付ける数字です。
ワクチンを接種していない人が多い
自宅で死亡した人の4割は、ワクチンを1回以上接種しています。
しかし、一度も接種していない「未接種」の人や「不明」の人が半分を超えます。
家族と同居していても危ない
自宅で死亡したというと、一人暮らしの「単身者」を想像しがちです。
しかし、実際には「家族と同居」している人が少なくありません。
同居している家族に気付かれないほど症状が急変し、突然の死に至ることが想像されます。
死んでから「陽性」が分かる人も多い
死者の中には、生前は新型コロナに感染していたことを知らなかった人もいます。
死亡後の診断で、初めて「陽性」が判明した人が3分の1もいるのです。
実際に、「救急搬送の搬入時の検査で陽性が判明した」とか「コロナ以外の要因で死亡し、死後に陽性が判明した」という報告があります。
特に、オミクロン株では、以前よりも症状が軽い人が多く、新型コロナによる感染と判断することが難しくなっています。
「軽症」でも油断できない
生前に「陽性」と分かっていても、その症状は「軽症」や「無症状」が多くなっています。
新型コロナでは、診断が「軽症」だからと言って油断せず、危機感を持って対応する必要があります。
例えば「陽性判明後(軽症)に自宅の浴槽で溺死した」という報告がありました。
なお、「重症」なのに、自宅で療養していた人がいるのは、「陽性が判明したが、本人や家族の意思により自宅療養を希望した」などの理由によります。
さらに具体的に「入院勧告及び投薬を拒否したため、主治医や訪問看護による看取りも含めた経過観察を行なった」という例も報告されています。
軽症でも早めの検査を
ここまで見てきた、自宅で死亡した人のプロフィールをまとめてみましょう。
やはり、新型コロナで重症化しやすいとされる「男性」「高齢者」「基礎疾患持ち」の人が多くなっています。
また、家族が同居していても死亡に至ったり、他の症状で死亡して後から陽性が判明するなど、急速に症状が悪化した例が少なくありません。
「コロナの症状を既存の持病の症状と思い医療期間を受診せず、数日後に死亡した」という実例もありました。
軽い症状や持病に見えても、そのままにせず、早めにPCR検査を受けてください。
そして、「軽症」や「自宅療養」と診断されても油断せず、急激な症状の悪化に備えてください。
それが、自宅で死亡する危険を避けるための手段なのです。