大幸薬品、消費者庁の措置命令を受け入れ。クレベリンの「空間除菌」表示違反を認める
表示に問題があったことを認める
大幸薬品は、除菌製品「クレベリン」について、一般消費者の誤認を招く表示があったことを認め、パッケージなどの改訂を行なうと発表しました。
リリースでは、「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」などの表示が、「一般消費者に対し実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものでした」としています。
「クレベリン」については、消費者庁から景品表示法に基づく措置命令が出されており、パッケージなどの表示が景品表示法に違反するものである旨を、一般消費者に周知徹底することが求められていましました。
大幸薬品は、この措置命令を受け入れ、今回の表示を行なったものです。
裁判所を舞台にした争い
クレベリンの「空間除菌」を巡る、消費者庁と大幸薬品との争いは、今年の始めから続いていました。
消費者庁は、クレベリンシリーズの各製品で行なわれていた、身の回りの空間を除菌できるとする表示を問題とし、措置命令を発しました。
しかし、大幸薬品は、これを不服とし、措置命令の差し止めを東京地方裁判所に申し立てました。
クレベリンは、同社にとって、会社全体の業績を左右する主力商品であり、簡単には認められなかったのです。
これに対して東京地裁は、一部の製品について差し止めを認めました。
つまり、大幸薬品と消費者庁とが痛み分けとなったのです。
しかし、消費者庁は諦めませんでした。
差し止めの対象とならなかった製品に対して措置命令を出すとともに、東京高等裁判所に差し止めの無効を求めました。
東京高裁は、すべての製品について差し止めを無効とし、消費者庁側の勝訴となったのです。
消費者庁は、クレベリンシリーズの残りの製品についても措置命令を発し、当初の目的を達しました。
しかし、大幸薬品は、これに対してすぐに従わず、「措置命令の内容を精査した上で、適切な対応を検討いたします」と、さらに対抗措置を取る可能性を示していたため、行動が注目されていました。
すでに一部製品の表示を改訂
すでに、クレベリンシリーズの一部製品は、3月から製品本体やパッケージの表示が改訂されています。
他の製品についても、問題とされた「空間に浮遊するウイルス・菌・ニオイを除去」や「空間のウイルス除去・除菌・消臭にご使用いただけます」などの表示のないパッケージに改訂されて出荷されるでしょう。
大幸薬品には、行政不服審査法に基づく審査請求などの手段も残されていますが、とりあえず製品の表示が改訂されることが決まり、一連の流れに一段落が付いたと言えるでしょう。