「新電力」の撤退が100社を超える。燃料高騰で赤字が増加

[2022/6/14 00:00]

すでに15%が撤退

帝国データバンクによれば、電力の小売を行なう「新電力会社(新電力)」のうち、電力事業を停止または撤退した企業が「104社」となりました。

これは、2021年4月時点で「706社」あった「新電力」の15%にあたります。

「新電力」の撤退によって電気の供給が受けられなくなり、大手電力会社からの供給に切り替えた「電力難民」企業は、5月だけで1万社を超えました。

企業だけではなく、個人についても「電力難民」となる可能性があります。

大手電力会社よりも電気料金が安い「新電力」を利用している家庭は、料金の値上げや契約した企業の撤退に注意が必要な状況です。

出典:帝国データバンク

仕入価格が急上昇

どうして「新電力」の撤退が増えているのでしょうか。

「新電力」の多くは、自前では発電設備を持たず、市場で調達した電力を小売しています。

つまり、安く仕入た電力を、大手電力会社よりも、少し安く売って、利益を上げていました。

しかし、発電に使う燃料の高騰を受けて、電力の調達価格が大きく上がりました。

1キロワット当たりの調達価格は、通常は「10円台」ですが、2021年1月には「63円」まで上がりました。

これでは、仕入価格が、小売価格を上回り、電気を売れば売るほど赤字になる「逆ザヤ」になってしまいます。

そのため、業界全体の15%が、事業からの撤退や倒産に追い込まれてしまったのです。

出典:帝国データバンク

受け皿はあるが、万一の覚悟を

あなたの家が、もし「新電力」の契約をしているとすれば、これからどうすれば良いでしょうか。

基本的には、現在のままで大丈夫です。

ただし、撤退や、そこまで行かなくても値上げのリスクがあるので、常に、契約先の「新電力」からのお知らせに注意してください。

万が一、契約している「新電力」が倒産や撤退をしてしまっても、電気が止まることはありません。

その場合は、旧一般電気事業者の小売部門の事業者が、代わりに電気を届けてくれます。

例えば、東京都内であれば東京電力エナジーパートナーが、「従量電灯B」などの一般的な契約に基づいて、電気を供給してくれます。

「新電力」が倒産しても、明日から急に電気が使えなくなるということはありません。

ただし、料金は「新電力」よりも高くなりますし、供給してくれる期間も限られています。

電力会社から指定された期限までに、次の契約先を探して、連絡してください。

[シニアガイド編集部]