「早期/希望退職」の実施数減少。それでも3千人の応募を集めた「富士通」
コロナ後で最少に留まる
上場企業による「早期/希望退職」の募集が減っています。
2022年上半期(1~6月)に、「早期/希望退職」を行なった上場企業は「25社」、募集人数は「4,515人」でした。
調査にあたった東京商工リサーチによれば、新型コロナの流行が始まった2020年以降では、最少となっています。
これは、停滞していた経済活動が動き始めたことと、新型コロナの影響が大きかった交通や旅行、飲食などの分野のリストラが一段落ついたことが原因でしょう。
業種は製造業が多い
早期/希望退職者の募集を行なった25社を業種別に見てみましょう。
もっとも多いのは「アパレル・繊維製品」「電気機器」「機械」の3分野で、それぞれ3社が募集を行なっています。
前年に多かったサービス業が減り、製造業が多くなっています。
ほぼ半分の企業が「黒字」
早期/希望退職者の募集をした25社のうち、直近の決算が「赤字」だった企業は13社でした。
一方、直近の決算が「黒字」だった企業は12社でした。
半分近くの企業が、直近の決算が黒字であっても、早期/希望退職者の募集に踏み切っています。
3千人以上の応募があった「富士通」
2022年上半期で、もっとも大規模な早期/希望退職者の募集を行なったのは「富士通」です。
富士通は、50歳以上の幹部社員(正規従業員、定年後再雇用従業員)を対象に募集を行ない、「3,031人」の応募を集めました。
今期、2番目に多いパチンコ関連メーカー「平和」が250人ですから、その規模の大きさが分かります。
小規模な企業における早期/希望退職者の募集は、人件費の削減を目的としています。
しかし、富士通のような大企業は、事業構造の転換のために大規模な人事政策を進めています。
言い換えれば、大企業は、新しい事業方針に向けて、本来の意味でのリストラを行なっているのです。
会社の業績が良いからと言って安心せずに、自分の所属する会社がめざす方針や、そのための組織変更などにも目を配ってください。