「介護事業」の倒産が大幅増加。上期は前年の4割増し

[2022/7/27 00:00]

倒産が前年の4割増し

企業情報サービスの東京商工リサーチによれば、2022年上半期の「老人福祉・介護事業」の倒産は、「53件」でした。

これは、前年の同じ時期に比べて39.4%の増加です。

介護保険法が施行された2000年以降で、3番目の高水準でした。

出典:東京商工リサーチ

デイサービスなどの倒産が増加

業種別では、「通所・短期入所介護事業」が17件で、前年から大幅に増えました。

これは、「デイサービス」や「ショートステイ」と呼ばれるサービスです。

競争の激化とコロナ禍での利用者の伸び悩みが影響しました。

「訪問介護事業」は22件で、昨年と同じでした。

これは、ホームヘルパーを派遣するサービスです。

ヘルパーの不足や高齢化など、人材募集の問題が影響しました。

「有料老人ホーム」は8件発生しました。

有料老人ホームは、競争激化による利用者の減少が響きました。

出典:東京商工リサーチ

一転して増加傾向に

「老人福祉・介護事業」の倒産は、コロナ禍が始まった2020年に過去最多となりました。

しかし、2021年はコロナ関連や介護事業者向けの支援が浸透したほか、介護報酬のプラス改定もあり、倒産が急減しました。

ところが、2022年に入って、コロナ支援策が徐々に縮小したため、再び倒産が増え始めています。

また、円安の進行で食材や衛生用品などの値上げが相次ぎ、光熱費が上昇するなどコストも増えています。

収入源である介護報酬が固定されており、コストが増えても価格に転換しにくい業界だけに、こうした状況が続くと倒産や廃業が増加する恐れがあります。

介護サービスを利用する場合は、倒産の可能性も頭に入れて、業者の経営状況に注意をはらいましょう。

特に、高額の利用費を支払う「有料老人ホーム」については、公開されている経営資料を、入所前に必ず確認してください。

[シニアガイド編集部]