すでに2割が市場から撤退。利益の98%が吹っ飛んだ「新電力会社」
すでに2割の企業が市場から撤退
企業情報サービスの帝国データバンクによれば、「新電力会社」のうち、2割が、すでに電力事業を停止していることが分かりました。
「新電力会社」とは、自分で発電設備を持たず、市場から電気を仕入れて、会社や個人に小売するサービスです。
帝国データバンクによれば、2021年4月までに登録があった「新電力会社」は706社でした。
しかし、2022年11月28日の時点で、その21%にあたる146社が電力事業を止めています。
中には、会社全体の「倒産」や「廃業」に至った会社も22社あります。
利益の98%が吹っ飛ぶ
「新電力会社」の苦境の原因は、卸売電力価格の上昇です。
新電力が1メガワット時(MWh)の電力を売って得られる利益は、2021年8月には「8,763円」でした。
しかし、1年後の2022年8月には「183円」まで下がりました。
たった1年で、利益が98%も減ってしまったのです。
つまり、電力を仕入れて、小売しても、ほとんど利益が出なくなってしまったのです。
すでに、電力の仕入れ価格が販売価格を上回る、「逆ザヤ」の状態に陥ったと推定される月も出ています。
このため、新電力会社は、電力料金の値上げに踏み切っていますが、あまり上げ過ぎると、新電力会社から電気を買うメリットが無くなってしまうので、苦しい状況です。
「電力難民」にならないよう情報収集を
ユーザーから見た新電力会社の問題は、料金の値上げだけではありません。
新電力会社が倒産や撤退をすると、電力を供給する契約が難しくなり、「電力難民」に追い込まれます。
すでに、「電力難民」となった企業は、10月には4万5,866件に達しています。
「電力難民」に対しては、大手電力会社から電気が供給されるという規定があります。
しかし、料金や契約期間には制限があり、望ましい状態とは言えません。
いま、契約している電力会社が「新電力」であるならば、その会社のホームページで値上げなどの内容を確認しておきましょう。
状況に応じては、大手電力会社に契約を変えることも検討してください。