正社員が65歳まで働ける企業は「99.9%」。「60歳定年」から「再雇用」が主流

[2022/12/21 00:00]

「65歳」や「70歳」まで働ける制度

現在、正社員については、65歳まで雇用する制度を用意することが、企業に義務付けられています。

これを「雇用確保措置」と言います。

また、2021年からは、70歳まで働けるように援助することが義務付けられました。

こちらを「就業確保措置」と言います。

この記事では、2つの制度の実状について、厚労省の資料をもとに紹介します。

調査の対象となっているのは、常に21人以上を雇用している全国の約23万社です。

ほぼすべての企業で「65歳」まで働ける

2022年6月の時点で、65歳までの雇用制度を用意している企業は、全体の99.9%でした。

つまり、「雇用確保措置」は、ほぼすべての企業で実現されたと言って良いでしょう。

ただし、「定年制の廃止」や「定年の引き上げ」をしている企業は3割しかありません。

残りの7割では、定年後に非正規で再雇用する「継続雇用制度」が行なわれています。

出典:厚労省

「60歳定年」から「継続雇用」がメインルート

実際に、60歳を定年としている企業では、社員はどういう選択をしているのでしょう。

定年を迎えた社員の8割強は「継続雇用」を選んでいます。

つまり、60歳で定年を迎え、その後は65歳まで継続雇用されるというルートが主流です。

「継続雇用を希望せず退職する人」や「継続雇用を希望したが雇用されなかった人」は、1割強に留まっています。

出典:厚労省

70歳まで働ける企業は「3割」

65歳まで雇用する「雇用確保措置」は、ほぼすべての企業に普及しました。

しかし、70歳まで就業できるように努力する「就業確保措置」を実行している企業は、まだ3割もありません。

現時点では、70歳まで働ける企業は限られた存在なのです。

さらに、その多くは「継続雇用制度の導入」を選んでいます。

つまり、60歳定年なのは変わらず、非正規雇用の期間が延長されると思えば良いでしょう。

70歳まで働けるのはありがたいですが、モチベーションの維持など課題も多そうです。

出典:厚労省

まず「就業規則」の確認を

ここまで見てきたように、多くの企業では「60歳で定年」後に、「継続雇用」で再雇用という制度になっています。

自分が今の会社で何歳まで働けるかを調べるときを調べるときは、「就業規則」で「定年の年齢」と「継続雇用制度の上限年齢」をチェックしてください。

その上で、どのような選択肢があり、どれを選ぶのか、早めに検討を始めましょう。

なお、60歳以上で働いている人の数は、2009年からの13年間で倍以上に増えています。

せっかく制度が用意されているのですから、できるだけ長く働くことを検討してください。

出典:厚労省
[シニアガイド編集部]