じわじわ増えている「ゼロ・ゼロ融資」後の倒産。返済できず「猶予」の選択も

[2023/2/9 00:00]

中小企業を救った「ゼロ・ゼロ融資」

「ゼロ・ゼロ融資」は、政府の支援により実質的に無利子・無担保で行なわれる融資です。

「ゼロ・ゼロ融資」は、新型コロナウイルス感染症の影響で業績が悪化した中小企業にとって、大変ありがたい存在です。

しかし、「ゼロ・ゼロ融資」を受けても経営を支えきれず、倒産してしまう企業が増えています。

この記事では、東京商工リサーチのデータをもとに、「ゼロ・ゼロ融資」後に倒産した企業の状況を紹介します。

「ゼロ・ゼロ融資」後の倒産が増えている

「ゼロ・ゼロ融資」を受けた後に倒産した企業は、2023年1月までで「633件」に上りました。

2022年だけでも「452件」が倒産しています。

2023年は1月だけで「48件」も倒産しており、時間がたつにつれて倒産件数が増えています。

出典:東京商工リサーチ

資本が弱く、負債額も少なめ

倒産した企業の負債額を見てみましょう。

一番多いのは「1億円以上5億円未満」で、4割を占めています。

倒産した企業の負債額としては少なめです。

次に多いのは「1千万円以上5千万円未満」で、さらに少ない金額になっています。

資本が潤沢とはいえず、比較的少ない負債で、破綻に至る企業が多いことが分かります。

出典:東京商工リサーチのデータをもとに編集部が作成

返済も始まり、これからが厳しい時期に

「ゼロ・ゼロ融資」の後に倒産した企業の業種を見てみましょう。

一番多いのは「サービス業」でした。

サービス業には、新型コロナ影響が大きい「飲食業」や「宿泊業」が含まれています。

以下、「建設業」と「製造業」が続きます。

いずれも、新型コロナの影響が大きく、その後の回復も順調とは言い難い業種が続きます。

今後、「ゼロ・ゼロ融資」は利子補給が無くなり、返済が始まります。

また、返済の猶予を申請する企業も増えることでしょう。

「ゼロ・ゼロ融資」によってなんとか生き延びてきた企業にとって、これからが厳しい時期となるでしょう。

出典:東京商工リサーチのデータをもとに編集部が作成
[シニアガイド編集部]