業界全体の半分が「赤字」。1年で8社が倒産した新電力会社
苦境にある「新電力会社」
調査会社の東京商工リサーチが、新電力会社の動向をレポートしています。
「新電力会社」とは、2016年の電力小売の完全自由化を受けて営業している電力会社を指す言葉です。
新電力会社の多くは、自社では発電設備を持たず、市場で仕入れた電気を小分けして顧客に販売していました。
電気の仕入れ価格は安定していたので、新電力会社の電気は安く販売され、人気を集めていました。
しかし、ウクライナでの戦争と、国際的なインフレを受けて、電気の仕入れ価格が上昇したため、苦境に陥っています。
ほぼ半分が「赤字」の状態
最初に新電力会社の現状を見てみましょうj。
最新の決算状況が分かる195社のうち、「赤字」が91社、「黒字」が104社でした。
半分に近い46%の新電力会社が「赤字」となっています。
昨年度より、少しましになりましたが、業界全体が苦しい状況にあります。
1年で8社が倒産。大手でも事業の継続が困難
赤字が続く新電力会社は、最終的には倒産に至ります。
2022年には8社が倒産しました。
倒産した新電力会社は、大きさを問いません。
最大だった「ホープエナジー」は300億円もの負債を負っています。
一方、最少だった「群上エネルギー」は2,400万円の負債で倒産しています。
規模の大小に関わらず、仕入れ価格の上昇で赤字になる構造は共通なので、倒産に追い込まれてしまうのです。
倒産した会社の1つ「シナジアパワー」は、東北電力と東京ガスが共同で出資する恵まれた会社でした。
しかし、そんな会社でも「今後の事業継続が困難」であるとして事業を停止してしまうほど苦しい状況なのです。
大手電力会社の値上げが確定するまで待つ
さて、このような新電力会社の状況に対して、私達はどのように対応すれば良いのでしょうか。
新電力会社に乗り換えている場合は、倒産や値上げのリスクに備えましょう。
まず、自分が加入している新電力会社の経営に不安があったら、その業績を調べてください。
それが面倒であれば、新規の会員募集を行なっているかどうかを調べましょう。
すでに苦しい状況になっていると、赤字を増やさないために、新規の会員募集を中止することが多いのです。
料金については、値上げによって、状況が変わっている可能性があります。
自分が今、どれぐらい電気料金を払っているのか、明細を調べておきましょう。
そして、その数字をもとにして、自宅が大手電力会社の一般的なプラン、例えば東京電力の「従量電灯B」などに加入したと仮定したときの料金を把握しておきましょう。
Web上で検索すれば、料金を試算するためのページが見つかります。
現在、大手電力会社は、電気料金の値上げ申請を行なっており、政府の判断を待っている状況です。
この値上げの結論が出たら、大手電力会社への復帰や別の新電力会社への乗り換えを検討してください。