輸入小麦の政府売渡価格が、4月から5.8%値上げ。3カ月後にはパンや麺類の価格に影響
4月から5.8%値上げ
農林水産省は、2023年4月から、輸入小麦の政府売渡価格を値上げすると発表しました。
輸入小麦1トン当たりの価格は、これまでの「72,530円」から5.8%値上げされました。
値上げ後の価格は「76,750円」で、過去最高となります。
日本で消費される小麦の8割以上は輸入に頼っているため、政府売渡価格の値上げは、そのままパンや麺類など、小麦を原料とする食品の値上げにつながります。
ロシアとウクライナは大輸出国
今回のように、小麦の価格が上昇したのは、ロシアによるウクライナ侵攻がきっかけです。
ロシアとウクライナが、両方とも小麦の輸出国で、両国を合わせると、世界の小麦輸出量の4分の1を占めています。
その両国が紛争の当事者となったため、小麦の流通に影響が出ることを恐れて、価格が急上昇しました。
輸入小麦は政府がまとめて買っている
どうして、日本では、小麦の価格を政府が決めているのでしょうか。
日本では小麦の自給率が低く、国内で使用している小麦の8割以上を輸入に頼っています。
小麦は戦略的な物資のため、より安定的に小麦を買い付けることが出来るように、政府が計画的に輸入し、製粉企業などに売り渡しています。
政府の判断で値上げ幅が抑えられている
政府による売渡価格は、半年に1回のタイミングで、一定のルールによって計算されます。
しかし、前回の2022年10月は、政治的な判断により、値上げが行なわれませんでした。
今回も、本来のルールに従えば、売渡価格は13.1%値上げされます。
しかし、今回も値上げ幅を圧縮し、5.8%の値上げに留められました。
つまり、政府のお金によって、小麦の価格上昇が押さえられる形になっています。
食品の値上げは「3カ月後」
小麦は、パンやうどん、中華そばなど、さまざまな食品の原料となっています。
4月から政府売渡価格が値上げされることで、これらも製品についても値上げが見込まれます。
値上げのタイミングは、農林水産省では「過去の例では3カ月後」としているので、7月以降に値上げが進むでしょう。
小麦の政府売渡価格の上昇は、食品の値上げの理由としてはわかりやすく納得しやすいため、これを機会として多くの食品が値上げに踏み切るおそれがあります。
また、値上げ幅については、食パンやうどんの原価では1.1円と試算されています。
しかし、実際に値上げされる際は、小麦粉の価格だけではなく、燃料費や人件費の上昇も含まれるため、大幅な値上げとなる可能性が高いでしょう。
食品の値上げは、4月で終わりではなく、夏場に向けてさらに増えていくことを覚悟しておきましょう。