「電化上手」など自由化部門の電気料金も7月1日に見直し。影響が大きい「燃料費調整制度」
7月1日から電気料金が見直し
東京電力の「自由化部門」の電気料金が、7月1日から見直されます。
値上げ幅は小さく、単純に値上げするのではなく、規制部門の料金値上げに合わせて、少しずつ調整されました。
ここでは、電気料金本体の見直しの内容ともに、自由化部門の電気料金に大きく影響する「燃料費調整制度」について紹介します。
代表的なプランは数%の値上げ
家庭向けの自由化部門の代表的なプランでは、1.3%から4.2%の値上げとなります。
10%以上の値上げとなった規制部門の「従量電灯B」などに比べると、値上げ幅が抑えられています。
「スタンダードS」は「従量電灯B」と同じ単価に
注目されるのは「スタンダードS」プランです。
これまでは「従量電灯B」に比べて、単価が高かったのですが、今回は値上げ後の従量電灯Bと同じ単価に値下げされます。
値下げ幅はほんの少しですが、「従量電灯B」と同じ単価になったことは良いことです。
深夜分が値上げされた「電化上手」
また、「電化上手」プランでは、このプランの特徴だった深夜の電気料金が引き上げられました。
一方、昼間の料金が値下げされています。
エコキュートを設置している家庭では、深夜に電力を使うので、思った以上に電気代が高くなる可能性があります。
自由化部門のプランは「燃料費調整制度」に注意
今回の自由化部門の料金は、大きな値上げはありませんでした。
しかし、自由化部門で、問題なのは電気料金の値上げだけではありません。
自由化部門の問題は、「燃料費調整制度」にあります。
これは、電気料金本体とは別に計算されているもので、原油などの燃料費の変化に合わせて、金額が変わります。
上のグラフは、自由化部門の「スタンダードS」と規制部門の「従量電灯B」について「燃料費調整額」の推移を見たものです。
モデル料金に合わせて、「30A契約、260kWh/月」という同じ使用量にして計算しています。
グラフを見ると分かるように、2022年の途中から、「スタンダードS」の方だけ「燃料費調整費」が高くなっています。
ピーク時には、「従量電灯B」は1,334円なのに、「スタンダードS」は3,390円まで上がりました。
つまり、1カ月で2千円近くも料金が高くなっていたのです。
どうしてこうなるかというと、規制部門の「燃料費調整額」は、法律の制限によって、ある一定の額(この場合は1,334円)よりも上げることができません。
しかし、自由化部門には、そのような制限がないので、計算結果がそのまま反映されてしまうのです。
オール電化を導入した家庭の多くで、思っていた以上の電気代になる原因は、この「燃料費調整額」なのです。
今後も、自由化部門のプランを継続する場合は、検針票の「燃料費調整額」の金額に注意してください。
現在は落ち着いていますが、再び燃料費が値上がりしした場合には、電気料金が跳ね上がる可能性があります。
せっかく、「お得なプラン」を選んだつもりでも、「燃料費調整費」という伏兵によって、それがひっくり返ってしまう可能性があることは覚えておいてください。