ガソリンの補助金が9月末で終了。値上げにつながる可能性はあるか
ガソリンに対する補助金が終了
資源エネルギー庁の「燃料油価格激変緩和対策事業」が2023年9月末で終了します。
この制度は、ガソリン、軽油、灯油、重油、航空機燃料に対する補助金で、2022年1月から行なわれています。
特にガソリンの価格が高かった2022年夏には、ガソリン1リットル当たり40円以上の引き下げ効果がありました。
具体的には、補助が無い場合には「210円」を超えていたガソリンが、「170円」前後に抑えられたのです。
しかし、9月には、その制度が終わってしまいます。
補助金の終わりによって、ガソリンの価格が上がったりしないのでしょうか。
補助金の現状と、6月からの3カ月の見通しを紹介します。
6月から縮小が始まる
5月現在の制度では、ガソリンの小売価格の抑制目標である1リットル当たり「168円」を超えた分について、「25円」までは全額を支給しています。
6月以降は、現在10割の補助率を2週間に1割ずつ縮小します。
つまり、6月以降は、少しずつ補助金の金額が減っていきます。
しかし、すぐにガソリンの価格が上昇する可能性は高くありません。
現状では、原油価格が安くなっており、ガソリン1リットル当たりの補助金は「25円」のうち「10.4円」しか使われていないのです。
6月以降に補助金の金額が少なくなっても、まだ余裕がありますから、ガソリンの価格には影響しないでしょう。
また、ガソリンの価格が急上昇した場合に備えて、補助金が25円を超えた分については、金額が少しずつ引き上げられていきます。
つまり、昨年夏のように大幅に価格が上がったときには、それなりの補助金が支給されます。
ガソリン価格の高騰というリスクには、ある程度の備えがあるのです。
ただし、昨年夏のような状況が長く続く場合には、補助金制度の延長が必要となるでしょう。
3兆円の税金が投入された
最後に、「燃料油価格激変緩和対策事業」は、国による事業です。
投入される税金は6兆円が用意され、すでに3兆円が支出されています。
ガソリンの価格が抑えられたことは歓迎すべきですが、多額の税金が投入されたことも忘れてはいけません。
もともと、緊急時の制度であり、いつまでも無限に続けられるものではなかったのです。