東京都のテレワーク実施率が50%を切る。ガイドラインの撤廃が影響
流行後に初めて50%を切る
東京都の調査によって、4月のテレワーク実施率が50%を切ったことが分かりました。
これは、新型コロナウイルス感染症の流行開始以来、初めてのことです。
過去の実績と比較しながら、テレワークが減少した理由を探ります。
新型コロナの流行が「カミカゼ」に
東京都のテレワーク実施率は、新型コロナ流行前の2020年3月には「24.0%」しかありませんでした。
しかし、「緊急事態宣言」の発令を受けて、翌月の4月には「62.7%」に跳ね上がりました。
ずっと実施率が低迷していたテレワークにとって、新型コロナは「カミカゼ」となったのです。
しかし、2023年に入ってから実施率は低迷し、ついに4月には「46.7%」に下がりました。
テレワークの実施率が50%を切るのは、流行開始以来初めてです。
ガイドラインの撤廃が大きく影響
テレワークの実施率を、企業規模別に見てみましょう。
大きく下がったのは、従業員数が300人以上の大企業です。
3月の実施率は「82.1%」でしたが、4月は「64.6%」まで下がりました。
その理由としては、新型コロナの扱いが変わったことにあります。
2023年5月に新型コロナの法的な位置付けが変わると同時に、業界別に行なわれていた新型コロナ予防のガイドラインが撤廃されました。
これまで、大企業のオフィスでは経団連によるガイドラインに従っていました。
そして、経団連のガイドラインでは、テレワークの実施を強く求めていました。
このガイドラインが撤廃されることによって、テレワークを導入する強制力が無くなってしまったのです。
ガイドラインの撤廃は5月ですが、制度の切り替えがしやすい「年度替わり」の4月からテレワークを取りやめる企業が続出したのです。
すべて止めてしまうのはもったいない
テレワークは、「時差出勤」や「週休3日制」などと並んで、新しい働き方の一つです。
実際にテレワークを行なった人からも、「通勤をしなくて良い」「自由に使える時間が増える」というメリットが挙げられています。
それだけに、新型コロナの流行が終わるのと同時に、テレワークの制度が無くなってしまうのはもったいないことです。
すべての仕事がテレワークでできるわけではありませんが、必要に応じて週に1~2日だけでもテレワークで働けるような制度を残すべきでしょう。