スーパーでおなじみの「パック豆腐」のメーカーが苦境に。輸入大豆の高騰が直撃
[2023/6/13 00:00]
豆腐屋の倒産が過去最悪のペース
身近な食材である「パック豆腐」を生産するメーカー、つまり「お豆腐屋さん」が苦しい状況にあります。
2023年の1月から5月だけで、「豆腐屋」の倒産が8件発生しました。
去年は1年間で11件の倒産だったので、それを上回る勢いです。
このままでは、過去最多だった2014年の17件を上回る可能性もあります。
ちなみに、倒産件数は負債が1,000万円を超え、法的整理を行なったものなので、小規模な企業の廃業を含めるとさらに増えるでしょう。
輸入大豆も国産大豆も高騰
「豆腐屋」を追い詰めているのは「大豆の高騰」です。
量産品の豆腐に多く使用される米国産など輸入大豆の価格は、円安の進行や世界的な需要増もあり、5年間で約2倍に上昇しました。
国産大豆の価格も、生産量が安定せず高止まりが続いています。
その結果、豆腐1丁に占める大豆の原価率は、2023年には推定で11%を占めています。
コロナ前の原価率は6~7%なので、倍近くになりました。
また、大豆以外にも電気やガス、物流のコストも上昇しました。
豆腐を製造するための、さまざまなコストが跳ね上がっているのです。
コストの上昇が経営不振に直結
「豆腐」は、日持ちのしない加工食品です。
このような商品を、流通業界では、毎日配達される「日配食品(にっぱいしょくひん)」と呼びます。
「日配食品」は販売価格が安く、製造コストが上昇しても値上げしにくい商品です。
つまり、製造コストの上昇が、利益の減少に直結する構造なのです。
思い切った販売価格の上昇が無い限り、倒産する豆腐屋は、さらに増えるでしょう。