新型コロナの3年間で、本社を移転する企業が6割も増加。東京都から脱出する企業が多数
新型コロナで企業の移転が増加
企業情報サービスの東京商工リサーチが、企業の本社移転について調査結果を公開しています。
2020年から2023年の3年間に本社を移転した企業は「10万5,367社」でした。
これは、コロナ前の2017年から2020年の3年間から、6割以上も増えています。
どんな企業が、どこからどこへ移転したのか見てみましょう。
なお、この調査では、東京23区、政令指定都市、人口50万以上の市を「大都市」、それ以外を「郊外」としています。
大都市から大都市へ移転する企業が多い
本社を移転した企業の、ほぼ半分は「大都市から大都市」へと移転しています。
また、2割は「郊外から郊外」へと移転しています。
「大都市から郊外」「郊外から大都市」のように、土地柄の違う地域に本社を移転する企業は、3割ほどにとどまっています。
従業員数が多い企業は「大都市」を目指す
3年間の統計を見ると、従業員数が多い企業は「郊外から大都市」へ移転する割合が高く、従業員数が少ない企業ほど「大都市から郊外」への移転が多くなっています。
「大都市」への移転は、大きなオフィスや人材の確保、ビジネスチャンスの拡大などのメリットがあるため、規模の大きい企業にとっては魅力的なのでしょう。
一方、従業員数が少ない企業は、移転の負担が軽いので、新型コロナの影響が大きかった大都市から脱出する企業が多かったのでしょう。
また、「郊外」には、人件費やオフィスの維持費などの固定費が安いというメリットがあります。
大都市からの脱出が多数
最後に、都道府県別の転出と転入の割合を見てみましょう。
もっとも転出が多かったのは「東京都」でした。
「東京都」の転出は転入よりも3,568社も多く、新型コロナの影響の大きさが感じられます。
東京都を離れた企業の受け皿となったのは、周辺の県でした。
「神奈川県」「千葉県」「埼玉県」など、隣接する県では転入が多くなっています。
つまり、東京都からは離れても、東京圏に留まった企業が多いのです。
同じ大都市の「大阪府」でも、転出が361社も多くなっています。
受け皿となったのは「兵庫県」「奈良県」「和歌山県」で、転入する企業が多くなっています。
ただし、大都市だからと言って、転出が多くなるとは限りません。
「福岡県」は、転出よりも転入が111社も多くなっています。
新型コロナの3年間は、大都市にダメージを与えましたが、「福岡県」はそれを乗り越えて会社を集めるだけの勢いがあるということでしょう。
また、「沖縄県」は新型コロナの流行地でしたが、転入する企業の方が多くなっています。