新型コロナで売上が半分になった宿泊業。順調な回復の足を引っ張る「人材不足」
新型コロナで売り上げが半分に
新型コロナウイルス感染症の影響を、大きく受けてしまった業界の1つが「宿泊業」です。
調査会社の帝国データバンクによれば、新型コロナ前の2018年の「旅館/ホテル市場」の売り上げは「5兆2千億円」でした。
しかし、新型コロナによって、2020年には、ほぼ半分の「2兆8千億円」まで減ってしまいます。
2021年も苦境が続きますが、ようやく2022年になって「3兆4千億円」まで回復しました。
それでも2018年度に比べれば、6割ほどしかありません。
幸い、2023年度は順調な売り上げが続いており、このまま行けば、新型コロナ以前の4兆円~5兆円に達する見込みです。
順調な復活の理由は「インバウンド(外国人旅行者)」です。
2023年の訪日客数は、年間2千万人超のペースで推移しています。
国内旅行客の回復に、インバウンドの増加が加わり、旅館/ホテル業界には強い追い風が吹いています。
回復の足を引っ張る「人手不足」
業績の回復が順調な宿泊業ですが、問題が無いわけではありません。
最大の問題は「人手不足」です。
帝国データバンクによれば、人手不足の割合は正規/非正規ともに7割を超えています。
このような人手不足の状態では、フロントスタッフや配膳、清掃などの各業務に支障が出てしまいます。
いったん業界を離れた経験者に戻って欲しいところですが、それも順調ではありません。
他業種へ転職した従業員は「賃金など条件が折り合わず、宿泊業への戻りは鈍い」(人材派遣会社)というありさまなのです。
このまま行くと、「予約の制限」や「客室稼働の抑制」など、営業に制限が出てしまう日も遠くありません。
宿泊の受け入れ態勢が整わず、需要の取りこぼしなどが発生するようでは、順調な業績回復も望めません。
正規/非正規を問わず、思い切った条件での人材募集が必要でしょう。
逆に言えば、新型コロナの影響で働き口を失っている人材にとって、旅館/ホテルなどの宿泊業は、検討すべき分野と言えるでしょう。