過去30年で最多となった飲食店の倒産。原因の8割以上が「販売不振」
過去30年で最多の倒産数
調査会社の東京商工リサーチによれば、2023年上半期の飲食店の倒産件数は「424件」でした。
これは、過去30年で最多となっています。
倒産が増加したのは、新型コロナ関係の金銭的支援の打ち切りに加え、電気/ガス料金や仕入れ価格の上昇、人手不足などが一度に押し寄せたためです。
「レストラン」「専門料理店」「酒場」が多い
倒産した企業の業種を見てみましょう。
一番多いのが「食堂、レストラン」でした。
これに、「専門料理店」と「酒場、ビヤホール(居酒屋)」で7割を占めています。
なお、「専門料理店」とは、そば、うどん、すし以外の日本料理を提供するもので、「てんぷら料理店」や「割烹(かっぽう)」などが含まれます。
また、昨年と比べると「持ち帰り飲食業」と「宅配飲食業」の倒産が増えています。
この2つは料理を持ち帰るか届けてもらい、自宅で飲食する店舗です。
新型コロナの流行とともに増加していましたが、コロナの制約が緩んだため、需要のピークを過ぎたのでしょう。
倒産の原因は「販売不振」
倒産の原因の8割以上は「販売不振」です。
つまり、お客さんを集めることができず、売上が上がらずに倒産に至っています。
飲食店の場合、ともかくお客さんに食べに来てもらうことが大切なことが分かります。
それ以外では、「長年にわたる赤字の累積」や、「他社の倒産による余波」などがあります。
倒産したのは個人企業や小さな会社
倒産した飲食店の多くが、個人企業や小資本の零細企業です。
一番多いのは資本金が「100万円以上500万円未満」でした。
次に多いのが、法人組織にしていない「個人企業」です。
倒産した飲食店の8割以上は、個人企業か、資本金が「1千万円未満」の小さな会社なのです。
このように資本が小さいため、長期間にわたる新型コロナ禍によって体力を削られ、限界を迎えた企業が多いのでしょう。
今年後半についても、新型コロナ流行中に借りた融資の返済開始をきっかけとして、金銭的な重荷を背負っている飲食店が力尽きる可能性があります。
すでに、新型コロナの流行中のような、手厚い政府の支援は望めません。
今後も、飲食店の倒産件数が増加する見込みは高いでしょう。