1割以上の人が「事故物件」に住んでも良いと思っている。条件は「安い家賃」と「リフォーム済み」
その場で人が死んだことがある「事故物件」
賃貸住宅を探していると、「事故物件」という言葉に出会うことがあります。
「事故物件」というのは、その物件に住んでいた人が、物件内で亡くなられた住宅です。
「事故物件」であることによって、物理的な支障が起きることはありませんが、入居者の心に影響します。
これを「心理的瑕疵(しんりてきかし)」と呼びます。
3年間必要な「事故物件」の告知
国土交通省のガイドラインでは、「心理的瑕疵」を避けるために、物件の内容説明について、次のようなルールを定めています。
- 自然死や日常生活の中での不慮の死は、原則的に「告げなくてよい」
- 自殺/他殺/特殊清掃を伴なう死の場合、賃貸は「3年間が経過すれば告げなくてよい」、売買は「相手の判断に影響を及ぼす場合は告げる必要あり」
- 隣接住宅や集合住宅の共有部は「告げなくてよい」
つまり、その住宅内で、「自殺/他殺/特殊清掃を伴なう死」があった場合に、「事故物件」と呼ばれると考えて良いでしょう。
そして、その場合には「3年間」の告知義務があります。
なお、「特殊清掃」とは、遺体の発見が遅れるなどして、室内に大きなダメージが出た場合に行なわれる清掃業務です。
9割近くの人が「事故物件」を気にする
では、どれぐらいの人が「事故物件」であることを気にするのでしょうか。
不動産業のAlbaLink(アルバリンク)が、「事故物件に関する意識調査」の結果から見てみましょう。
このインターネット調査は、2023年6月に行なわれ、全国の男女500人が回答しています。
その結果、「とても気にする」または「やや気にする」と答えた人が合わせて87.4%もいました。
事故物件かどうかを気にする人は、9割近くもいます。
逆に、「まったく気にしない」や「あまり気にしない」という人が1割以上いることの方が驚きかもしれません。
事故物件を避ける理由は「怖い」
次に「事故物件に住みたくない理由」を聞いています。
一番多い答えは「とにかく怖い」でした。
次に多い答えは「なんとなく気分がよくない」です。
以下、「縁起が悪い」「幽霊・心霊現象が起こりそう」と続きます。
また、「家でリラックスできない」という答えもありました。
全体的に、実害はなくても、避けたいと考える人が多いようです。
きれいで安ければ「事故物件」に住んでも良い
最後に「事故物件でも住んでもいい」と思える条件を聞いています。
一番多い答えは「家賃が安い」でした。
やはり、「心理的瑕疵のある物件に入居するなら、相応の割引がほしい」と考える人が多いのです。
実際に、「事故物件」の家賃は安く設定されています。
公的な性格が強い「UR賃貸住宅」では、都内の2DKで「101,000円」だった家賃が、事故物件扱いになり、1年間限定で「50,500円」と半額になった例があります。
民間住宅でも、周囲の同じような条件の物件よりも、割引された家賃に設定されることが多いようです。
そして、「家賃」の次に多い条件が「リフォーム済み」でした。
例えば、「フルリフォーム済みで汚れなどがなければ、住んでもいいかなと思います(30代女性)」というコメントがありました。
まとめると、事故物件に入居しても良いと考える人は、そこで人が死んだということを感じさせない処置がされていて、なおかつ家賃が安いことが条件になっているようです。
これは、自分が部屋を探すときだけではなく、自分が所有している住宅が事故物件になった場合にも参考になるでしょう。