すべての都道府県で「雇用調整助成金」の不正受給が発覚。1社平均で3千万円、最大で10億円を騙し盗る
コロナ対策の補助金を騙し盗る
新型コロナ感染拡大に伴う雇用維持のため、従業員への休業手当を助成する「雇用調整助成金」の不正受給をした企業が「667社」に上ることが分かりました。
調査会社の東京商工リサーチによれば、2023年8月31日までに公開された不正受給の件数は670件でした。
このうち3社は2度に渡って公開されているため、実際には667社が不正受給を働いていたことになります。
なお、47の都道府県のすべてで不正受給が報告されています。
不正受給の総額は「206億7,947万円」で、1社平均で3千万円前後を不正受給していたことになります。
中には、「水戸京成百貨店」のように、1社で「10億7,383万円」という巨額な不正受給をしていた例もありました。
同社は、この問題によって代表取締役社長と取締役総務部長が退任しています。
創業10年未満の飲食業が多い
不正受給をした企業の業種は、「サービス業」が4割以上を占めました。
特に多いのが「飲食業」でサービス業全体の3割を占めています。
また、会社ができてから「10年未満」の会社が半分近くを占めています。
会社が若く、経営が安定しない企業が、不正受給に手をだしているようすがうかがえます。
不正受給の4つの手口
不正受給の手口
実際に「雇用調整助成金」の不正受給は、どのような手口で行なわれたのでしょうか。
ここでは、4つの代表的な手口を紹介します。
- 架空休業1
実際には出勤またはテレワークをしているにも関わらず、休業したものとして休業日数や休業時間を水増しして申請する。 - 架空休業2
出勤日にタイムカードを打刻しないよう従業員に指示し、出勤簿などの法定帳簿を書き換えて申請する。 - 架空雇用
退職した従業員を現在も雇用しているように装う、あるいは架空の人物を雇用しているよう装い、休業したとして申請する。 - 架空休業手当
実際には従業員に所要の休業手当を支払っていないが、支払ったとして申請する。
極端な例では、打刻されたタイムカードをシュレッダーにかけてしまい、好きなようにデータを作った法人もありました。
摘発は、これからも続く
「雇用調整助成金」の助成事業は、2020年4月から2023年3月まで行なわれました。
そして、2022年の半ばから不正受給の摘発が増えています。
現在も労働局による調査が続いており、これからも支給決定の取消と不正企業の公表が続くでしょう。