家族の葬儀では6割以上が「通夜」と「告別式」を希望。「直葬」の希望は1割止まり
自分や家族の葬儀のかたちを考える
公益財団法人 全日本仏教会と大和証券が行なった調査から、「希望する葬儀の形式」について紹介します。
2022年12月に行なわれたインターネット調査には、6,184人が回答しています。
「通夜」と「告別式」で「日程」が決まる
最初に、葬儀の形式について、「日程」からおさらいしましょう。
一般的な葬儀の形式は、1日目に「通夜」を行ない、2日目に「告別式」を行ないます。
これを「一般葬」と呼びます。
最近増えているのは、「通夜」を省略して、「告別式」とし、1日で葬儀を終わらせます。
これを「一日葬(いちにちそう)」と呼びます。
さらに、「通夜」も「告別式」も省略し、「火葬」のみを行なう形式も増えています。
これを「直葬(じきそう)」または「火葬式」などと呼びます。
つまり、葬儀の形式は、「一般葬(2日間)」「一日葬(1日間)」「直葬」の3つに分けられると思えば良いでしょう。
自分の葬儀では半分以上が「一般葬」を希望
では、「自分」の葬儀と、「家族」の葬儀には、どんな形式を望んでいるのでしょうか。
「自分」の場合は、「一般葬」が一番多く、半分以上の人がこれを希望しています。
つまり、「通夜」と「告別式」のある葬儀を望んでいる人が主流です。
次に多いのが「直葬」で、4人に1人がこれを選んでいます。
そして、「通夜」のない「一日葬」も2割の人が選んでいます。
こうしてみると、2日間かける「一般葬」を希望する人が多いのですが、「直葬」や「一日葬」も受け入れられていることが分かります。
家族の葬儀では6割以上が「一般葬」を希望
しかし、これが「家族」の葬儀となると、少し話が変わってきます。
まず、「一般葬」を希望する割合が6割を超えます。
そして、「直葬」を希望する人が大きく減ります。
「一日葬」を希望する人は、「自分」の葬儀とあまり変わりません。
つまり、「家族」の葬儀は「一般葬」で執り行いたいと考える人が多いのです。
簡素化するとしても「一日葬」までが限度で、「直葬」で良いという人は多くありません。
葬儀の規模を決める「列席者の範囲」
さて、葬儀の形式には、「日程」のほかに、「列席者の範囲」があります。
大きく分けると、3つ選択肢があります。
- 「家族」だけで行なう
- 「家族」に加えて「親族」を呼ぶ
- 「家族」と「親族」に加えて、「友人/知人」まで呼ぶ
葬儀の規模、とくに会場の選択は「列席者の範囲」で決まります。
「家族」の葬儀について、「列席者の範囲」も加えた内容を見てみましょう。
ついでに、「直葬」について、僧侶を呼ぶか呼ばないかも分けてあります。
希望が一番多いのは「家族のみで一般葬」でした。
つまり、日程は2日間とりますが、親族や友人/知人は呼ばず、内々に小規模で行なう葬儀です。
次に多いのが「親族も加えた一般葬」です。
せっかく、「通夜」と「告別式」まで行なうのですから、親族も呼びたいという気持ちも分かります。
三番目が「友人知人も加えた一般葬」です。
以前は一般的だった形式で、規模が一番大きくなります。
故人の社会的地位が高い場合や、交友関係が広い場合は、これを選ばざるを得ないでしょう。
そして、四番目には「僧侶を呼ばない直葬」が入っています。
「家族」の葬儀であっても、もっともシンプルな形式を希望する人が1割はいるのです。
必要とする人に「故人との別れの場」を提供する
新型コロナウイルス感染症の流行によって、葬儀の形式は大きく変わりました。
最盛期には、家族であっても県境を超える場合は、葬儀に呼ばれないという事例も耳にしました。
そこまで行かなくても、「友人/知人」「会社の同僚」などは、葬儀に呼ばれないのが普通になりました。
葬儀が話題になるときには、「家族葬」「直葬」など、規模が小さくシンプルな葬儀が形式が中心となっていました。
新型コロナの扱いが変わっても、葬儀の簡素化は止まらないかもしれません。
しかし、忘れてはならないのは、「葬儀」は故人との別れの場であり、最後のコミュニケーションの機会であるということです。
もし、故人との別れの場を必要としている人が多いのであれば、それにふさわしい形式を選ぶべきでしょう。
葬儀の形式を考えるときは、残された家族の都合だけではなく、「故人」の人間関係なども考慮して判断することをおすすめします。