家族の介護をしている人で、「同居」している人は半分もいない
「介護」には「同居」が必要という思い込み
よくある質問の1つに「家族が倒れてしまったのですが、会社を辞めて実家に帰って介護をするべきでしょうか」があります。
こういうときは、まず「ちょっと待ってください。同居すべきかどうかは、状況によって違います」と受けます。
その上で、「まず、介護が必要だからと言って同居が絶対条件だと思いこんでいませんか。介護されている人のうち、同居の人に介護されているのは46%だけで半分もいないんですよ。それに介護を担うのが子供とは限りませんよ」と答えます。
そうすると、「ええっー、介護って子供が同居してやるのが当然なんじゃないんですか」と驚いて、ようやく思い詰めている状態から離れてくれます。
「介護は子供がやるもの」という思い込み
「同居の人に介護されているのは46%」というのは、国の「国民生活基礎調査」という大規模な調査にある数字です。
下のグラフを見てもらうと、「同居」の方が少ないことが分かります。
「介護」は、家族の同居が無くても可能なのです。
この調査では、介護が必要と認定された「要介護者」を、主に介護している人の続柄なども聞いています。
一番多いのは「配偶者」で、「子供(子)」は、その次です。
つまり、同居して介護している家族が、「子供」とは限りません。
介護するのは「現役世代」という思い込み
では、実際にはどんな人が「同居」して「介護」を担っているのでしょうか。
まず、男女比を見ると、男性が3割、女性が7割で、女性に負担がかかっていることが分かります。
年齢別に見ると、男女とも「60代」と「70代」が多く、60歳未満の現役世代は全体の4分の1ほどに留まっています。
つまり、現役世代が介護のために勤め先を辞めて介護するというのは主流ではありません。
介護の方針を考えるときは自分一人では決めない
最後に介護を受ける「要介護者」の年齢を見てみましょう。
男性は「70代」から増えて「80代」が中心です。
女性は「90代」が多く、「80代」が続きます。
男性に比べると、「70代」が少なく、「90代」が多くなってます。
つまり、自分の家族が男性であれば「70代」になったら、女性であれば「80代」になったら、介護を受ける可能性が高いことを覚えておきましょう。
もし、自分が現役世代であれば、そのときにどう行動するのか、一度考えておくことをおすすめします。
そのときは、地域包括支援センターやケアマネージャーなどと相談しながら、介護の方針を考えましょう。
一人で考えていると、「~しなければならない」という思い込みで、性急に決断を下してしまう可能性があります。
介護は一人だけで支えきれるものではありませんから、必ず、第三者の意見を参考にしてください。