食品スーパーの3割が「赤字」。赤字が7割を超える「鳥取県」では閉店が続く
3割が赤字、7割が業績悪化
調査会社の帝国データバンクが、食品スーパー業界の動向調査を行なっています。
2023年9月末の時点で、食品スーパー1,100社のうち「31.3%」が赤字でした。
黒字でも、前年に比べて減益となったスーパーが「37.5%」ありました。
赤字と減益を合わせると、68.8%の食品スーパーが、前年に比べて業績が悪化しています。
食品スーパーの閉店が続く「鳥取県」
食品スーパーの赤字率を都道府県別に見ると、特定の県が飛び抜けて悪いことが分かります。
最も赤字率が高いのは「鳥取県」で「71.4%」でした。
全国で、唯一70%を超えています。
帝国データバンクによれば、人口減少で来店が見込める商圏が縮小し、地場スーパーの撤退や閉店とが発生するなど、当地のスーパーのほとんどが赤字経営と厳しい状態でした。
鳥取県では、「Aコープ」や「トスク」などのJA(農協)系のスーパーが、今年だけで5店舗閉店し、さらに12店舗が来年3月までに閉店する予定です。
また、「徳島県」の赤字率が「60.0%」、「滋賀県」と「岐阜県」がそれぞれ「50.0%」と苦しい状況に追い込まれています。
食品スーパーが閉店すると「買い物難民」が増える
食品スーパー業界では、好調な企業と、そうでない企業との差がはっきりとしてきました。
好調な企業は、低価格なPB(プライベートブランド)製品の提供や、新規の出店などで、市場を広げています。
また、人件費の増大に対してもセルフレジの導入を行なうなど、投資をする余力があります。
一方、地方の中小スーパーでは、人口減少などによる限られた商圏で集客力を維持するための「値下げ」に頼るため、単純な価格競争に陥りやすくなっています。
そのため、商品の仕入れや燃料費、人件費などのコストを店頭価格に反映できず、減益や赤字に追い込まれてしまうのです。
最終的に食品スーパーが閉店すると、その地域の多くの人が買い物難民となってしまいます。
それを補うために、軽トラックによる移動販売や、離れたスーパーに行くバスツアーなどが行なわれていますが、スーパーと同じ品揃えは望むべくもありません。
食品スーパーは、日常生活を送るためのライフラインのような存在です。
地元のスーパーの経営状況には常に注意を払っておきましょう。