食品スーパーの3割が「赤字」。赤字が7割を超える「鳥取県」では閉店が続く

[2023/10/19 00:00]

3割が赤字、7割が業績悪化

調査会社の帝国データバンクが、食品スーパー業界の動向調査を行なっています。

2023年9月末の時点で、食品スーパー1,100社のうち「31.3%」が赤字でした。

黒字でも、前年に比べて減益となったスーパーが「37.5%」ありました。

赤字と減益を合わせると、68.8%の食品スーパーが、前年に比べて業績が悪化しています。

出典:帝国データバンク

食品スーパーの閉店が続く「鳥取県」

食品スーパーの赤字率を都道府県別に見ると、特定の県が飛び抜けて悪いことが分かります。

最も赤字率が高いのは「鳥取県」で「71.4%」でした。

全国で、唯一70%を超えています。

帝国データバンクによれば、人口減少で来店が見込める商圏が縮小し、地場スーパーの撤退や閉店とが発生するなど、当地のスーパーのほとんどが赤字経営と厳しい状態でした。

鳥取県では、「Aコープ」や「トスク」などのJA(農協)系のスーパーが、今年だけで5店舗閉店し、さらに12店舗が来年3月までに閉店する予定です。

また、「徳島県」の赤字率が「60.0%」、「滋賀県」と「岐阜県」がそれぞれ「50.0%」と苦しい状況に追い込まれています。

出典:帝国データバンク

食品スーパーが閉店すると「買い物難民」が増える

食品スーパー業界では、好調な企業と、そうでない企業との差がはっきりとしてきました。

好調な企業は、低価格なPB(プライベートブランド)製品の提供や、新規の出店などで、市場を広げています。

また、人件費の増大に対してもセルフレジの導入を行なうなど、投資をする余力があります。

一方、地方の中小スーパーでは、人口減少などによる限られた商圏で集客力を維持するための「値下げ」に頼るため、単純な価格競争に陥りやすくなっています。

そのため、商品の仕入れや燃料費、人件費などのコストを店頭価格に反映できず、減益や赤字に追い込まれてしまうのです。

最終的に食品スーパーが閉店すると、その地域の多くの人が買い物難民となってしまいます。

それを補うために、軽トラックによる移動販売や、離れたスーパーに行くバスツアーなどが行なわれていますが、スーパーと同じ品揃えは望むべくもありません。

食品スーパーは、日常生活を送るためのライフラインのような存在です。

地元のスーパーの経営状況には常に注意を払っておきましょう。

[シニアガイド編集部]