居酒屋の売上がようやく回復。3分の2の居酒屋が「黒字」に

[2023/11/9 00:00]

居酒屋の3分の2が「黒字」に

調査会社の東京商工リサーチによれば、主要な居酒屋320社の売上が回復し、約3分の2にあたる206社が「黒字」となりました。

居酒屋の売上は、新型コロナ禍によって減少しましたが、2022年度は大きく回復し、コロナ禍前に近い水準に戻っています。

すべての居酒屋の収益が回復したわけではありませんが、年を追うごとに、黒字の会社が増えており、良い方向に向かっていると言えるでしょう。

出典:東京商工リサーチ

コロナ関係の支援が終わり、苦しい経営

しかし、居酒屋業界が完全に回復したわけではありません。

新型コロナは、休業や営業時間の制限などマイナスの影響がありましたが、居酒屋を支援する補助金や貸付の制度などプラスの側面もありました。

実際、2022年度の居酒屋の倒産は、過去5年で最小の128件に留まっています。

しかし、2023年度は、各種の支援制度が終わったことが影響し、倒産が増えています。

このまま居酒屋の低迷が続くと、体力の乏しい小さい居酒屋を中心に、倒産が増える可能性が高いのです。

新型コロナで変わった「行動原理」が影響

また、新型コロナは、人々の行動を大きく変えました。

特に、「換気の悪い密閉空間」「多数が集まる密集場所」「間近で会話や発声をする密接場面」の3密を避けるという行動原理は深く浸透しています。

例えば、2023年10月に、東京商工リサーチが実施したアンケート調査では、今シーズンに忘年会や新年会を実施する企業は54.4%にとどまりました。

会社の行事として、3密の可能性がある居酒屋で会合を開くのは、まだ抵抗があるのです。

また、現在は季節性インフルエンザの流行が全国に及んでいますから、コロナが一段落したといっても気が許せない状況です。

居酒屋業界が、完全に復活するためには、もう少し時間がかかると見て良いでしょう。

[シニアガイド編集部]