今年の飲食業の倒産が、新型コロナ流行後で最悪のペース。小規模の飲食店を襲う「販売不振」
[2023/11/12 00:00]
10カ月で昨年1年を上回るペース
企業情報サービスの東京商工リサーチによれば、2023年1月から10月までの飲食業の倒産は「727件」でした。
これは、2021年1年間の「648件」と、2022年1年間の「522件」をすでに上回っています。
このままのペースが続くと、新型コロナによる外出の制限が直撃した2020年の「842件」を超える可能性があります。
飲食業の倒産は、新型コロナの流行以降で、もっとも厳しい状況となりました。
「持ち帰り」や「宅配」は試練の時期
飲食業のうち、倒産が多い業種は「食堂、レストラン」「専門料理店」「酒場、ビアホール」です。
この3つの業種だけで、全体の7割近くを占めています。
なお、「専門料理店」は中華料理店やラーメン店、焼肉店など、「酒場、ビアホール」には居酒屋などが含まれています。
そして、件数は多くありませんが、昨年よりも大幅に倒産が増えている業種があります。
まず、「持ち帰り飲食サービス業」の倒産が昨年の2.5倍になりました。
そして、「宅配飲食サービス業」の倒産は昨年の1.5倍に増えました。
この2つの業種は、新型コロナの流行期に出店が増えました。
しかし、新型コロナの流行が落ち着いたことで、生き残りをかけた試練の時期が訪れています。
小規模な飲食店が「販売不振」で倒産している
飲食業の倒産の原因で一番多いのは「販売不振」でした。
「販売不振」による倒産は「591件」で、飲食業の倒産の8割以上を占めています。
また、負債額では「1千万円以上5千万円未満」が多く、7割を占めています。
つまり、新型コロナの流行が落ち着いても、小規模な飲食店に客足が戻らず、販売不振から倒産していることが分かります。
さらに、食材や光熱費の上昇、人手不足と人件費の高騰など、飲食業にとって厳しい状況が続いています。