副業で人気の「軽貨物運送」の倒産が過去最多。新規参入が多く、収益が悪化

[2023/11/14 00:00]

「軽貨物運送」の倒産が増加

調査会社の帝国データバンクによれば、「軽貨物運送」の倒産が過去最多となりました。

2023年1月から10月までの「軽貨物運送」の倒産は「35件」でした。

これは、2021年の30件を上回り、過去最多となっています。

「軽貨物運送」には、倒産の統計には含まれないフリーランスや零細企業も多いので、さらに多くの事業者が廃業している可能性があります。

出典:帝国データバンク

軽バン1台から始められる「軽貨物運送」

もともと、「軽貨物運送」は小規模な運送業です。

「軽貨物運送」は、軽自動車を使って、不特定多数の荷主の荷物を有料で運ぶ事業と定められています。

「軽貨物運送」の特徴は、当局の許可が必要な他の運送業と異なり、届け出だけで始められることです。

つまり、手元にバン型の軽自動車があれば、書類を出すだけで、すぐに個人事業主として仕事を始めることができます。

そのため、最近では副業や、独立の手段としても注目されています。

なお、「軽貨物運送」で使用する軽自動車には、「黒ナンバー」と呼ばれる「黒地に黄色い文字で書かれたナンバープレート」を装着する必要があります。

街でよく見かける「黒ナンバー」を付けた軽自動車は、すべて「軽貨物運送」の事業者なのです。

黒字に黄色い文字の「黒ナンバー」

インターネット通販で新規参入が増加

「軽貨物運送」は、インターネット通販の普及によって、参入する事業者が増えました。

例えば、通販大手の「Amazon(アマゾン)」から、個人宅への配送を請け負う「Amazon Flex(フレックス)」は「軽貨物運送」です。

それ以外でも、宅配業者から個人向けの配送を請け負うなど、「軽貨物運送」は身近な存在となっています。

しかし、「軽貨物運送」は簡単な仕事ではありません。

特に、個人宅への配送では、不在時の再配達義務があるため、1つの荷物を届けるのに時間がかかるという問題があります。

また、配送ドライバーを雇った場合の人件費や、ガソリン代などのコストも増加しています。

一方、新しく参入する事業者が多いため、運送料は上がりません。

そのため、22年度は軽貨物運送の23.9%が「赤字」となっており、減益を含めた「業績悪化」は50%を超えています。

さらに、インボイス制度の導入による事務経費の増加など、「軽貨物運送」をとりまく環境は悪化しています。

今後も、倒産や廃業に至る事業者が増加する可能性は高いでしょう。

出典:帝国データバンク
[シニアガイド編集部]