半分以上の企業が「人手不足」を感じている。人が足りない業種は「旅館・ホテル」と「飲食業」
企業に聞いた「人手不足」
シニア世代が、転職や再就職を目指す際に注目したいのが、業種ごとの求人状況です。
例えば、異業種からの転職や、高齢者がアルバイトを探すなど、職を探すのが困難な場合でも、人手不足の業種であれば採用される可能性が高まります。
この記事では、調査会社の帝国データバンクが行なった、2023年10月の求人状況をもとに、狙い目の業種を紹介します。
半分以上の企業が「人手不足」を感じている
まず、全体の状況から見ていきましょう。
正社員が「不足」と感じている企業は52.1%もあり、半分を超えています。
「不足」と感じている企業は、2020年の新型コロナウイルス感染症の流行で大幅に減っていました。
しかし、今年はその影響がほぼ終息し、2018年頃と同じ水準に戻っています。
また、パートやアルバイトなどの非正社員についても、30.9%の企業が「不足」と感じています。
正社員ほどではありませんが、こちらもコロナ前の状況に近づいています。
正社員が足りないのは「旅館・ホテル」
では、正社員の不足状況を業種別に見てみましょう。
もっとも人手不足なのは、「旅館・ホテル」が75.6%でした。
海外からの観光客である「インバウンド」や、自粛の反動で消費が増える「リベンジ消費」による観光が増えており、人手が足りません。
次に多いのが「情報サービス」でした。
「情報サービス」に含まれるITエンジニアは常に不足しており、新型コロナの影響も少ない業種でした。
専門性が高く経験が必要とされますが、就職や転職では有利な職種であることが分かります。
ほかにも、「建設」や「メンテナンス・警備・検査」などの業種が人手不足を訴えています。
「メンテナンス・警備・検査」には、ビル清掃や警備業などが含まれています。
非正社員が足りないのは「飲食店」
次に、非正社員の人手不足の状況を見てみましょう。
もっとも深刻なのは「飲食店」で、8割以上の会社が人手不足を感じています。
次に多いのが「旅館・ホテル」で、正社員だけではなく、非正社員も不足していることが分かります。
ほかには、各種の小売業が人手不足となっています。
「2004年問題」の「建設業」と「物流業」も
ここまで見てきたように、正社員と非正社員を問わず、人手不足の状況は新型コロナ前に戻っています。
特に、需要が回復している「旅館・ホテル」や「飲食店」では人手不足が深刻です。
また、労働時間に上限が課される「2024年問題」を抱えている「建設業」と「物流業」も人手が足りません。
具体的には、建築現場での作業員や、トラックのドライバーなどです。
ほかには、企業の人手不足で需要が高まっている「人材派遣・紹介」と「メンテナンス・警備・検査」も狙い目でしょう。
これらの業種は真剣に人材を求めています。
つまり、難しい条件を抱えた求職者でも、職が得られる可能性があります。
仕事を探すときには、これまでの職歴にとらわれず、人手不足の業種でも探してみてください。