半分以上の企業が「人手不足」を感じている。人が足りない業種は「旅館・ホテル」と「飲食業」

[2023/11/20 00:00]

企業に聞いた「人手不足」

シニア世代が、転職や再就職を目指す際に注目したいのが、業種ごとの求人状況です。

例えば、異業種からの転職や、高齢者がアルバイトを探すなど、職を探すのが困難な場合でも、人手不足の業種であれば採用される可能性が高まります。

この記事では、調査会社の帝国データバンクが行なった、2023年10月の求人状況をもとに、狙い目の業種を紹介します。

半分以上の企業が「人手不足」を感じている

まず、全体の状況から見ていきましょう。

正社員が「不足」と感じている企業は52.1%もあり、半分を超えています。

「不足」と感じている企業は、2020年の新型コロナウイルス感染症の流行で大幅に減っていました。

しかし、今年はその影響がほぼ終息し、2018年頃と同じ水準に戻っています。

また、パートやアルバイトなどの非正社員についても、30.9%の企業が「不足」と感じています。

正社員ほどではありませんが、こちらもコロナ前の状況に近づいています。

出典:帝国データバンク

正社員が足りないのは「旅館・ホテル」

では、正社員の不足状況を業種別に見てみましょう。

もっとも人手不足なのは、「旅館・ホテル」が75.6%でした。

海外からの観光客である「インバウンド」や、自粛の反動で消費が増える「リベンジ消費」による観光が増えており、人手が足りません。

次に多いのが「情報サービス」でした。

「情報サービス」に含まれるITエンジニアは常に不足しており、新型コロナの影響も少ない業種でした。

専門性が高く経験が必要とされますが、就職や転職では有利な職種であることが分かります。

ほかにも、「建設」や「メンテナンス・警備・検査」などの業種が人手不足を訴えています。

「メンテナンス・警備・検査」には、ビル清掃や警備業などが含まれています。

出典:帝国データバンク

非正社員が足りないのは「飲食店」

次に、非正社員の人手不足の状況を見てみましょう。

もっとも深刻なのは「飲食店」で、8割以上の会社が人手不足を感じています。

次に多いのが「旅館・ホテル」で、正社員だけではなく、非正社員も不足していることが分かります。

ほかには、各種の小売業が人手不足となっています。

出典:帝国データバンク

「2004年問題」の「建設業」と「物流業」も

ここまで見てきたように、正社員と非正社員を問わず、人手不足の状況は新型コロナ前に戻っています。

特に、需要が回復している「旅館・ホテル」や「飲食店」では人手不足が深刻です。

また、労働時間に上限が課される「2024年問題」を抱えている「建設業」と「物流業」も人手が足りません。

具体的には、建築現場での作業員や、トラックのドライバーなどです。

ほかには、企業の人手不足で需要が高まっている「人材派遣・紹介」と「メンテナンス・警備・検査」も狙い目でしょう。

これらの業種は真剣に人材を求めています。

つまり、難しい条件を抱えた求職者でも、職が得られる可能性があります。

仕事を探すときには、これまでの職歴にとらわれず、人手不足の業種でも探してみてください。

[シニアガイド編集部]