2050年の日本を襲う「気温の上昇」「降水量の増加」「積雪量の減少」。今住んでいる地域の2割が無人になる
異常な夏はいつまで続くのか
2023年の夏は暑い日々が続きました。
この暑さは年末まで続いており、神奈川県小田原市では12月16日なのに、最高気温が25度以上の「夏日(なつび)」となりました。
この暑さはいつまで続くのだろう、このまま行くと、いったいどこまで暑くなってしまうのだろうと思っている方も少なく無いでしょう。
この記事では国土交通省がまとめた「長期展望」から、2050年をめどにした気候や自然の変化を紹介します。
2100年まで平均気温が上がり続ける
まず、「気温」の変化です。
全国の平均気温は2000年には「10.2度」でした。
これが2050年には「12.4度」、2100年には「13.0度」まで上がるとされています。
特に気温の変化が大きいのは長野県や新潟県などの中部地方北部です。
平均気温で3度以上上がる地域もあります。
平均気温の影響が大きい農業にとって、大きな課題となるでしょう。
2050年には降水量が増える
次に「降水量」の変化を見てみましょう。
全国の平均降水量は2000年には「1,758mm」でした。
これが2050年には「2,394mm」まで増加します。
降水量が増えるのは、関西から北海道の広い地域で、特に太平洋岸が多くなる見込みです。
なお、2100年には降水量は減少し「1,897mm」まで下がります。
2050年には、本州の積雪が大きく減る
ここまで見てきたように、2050年の日本では、「気温」が上がり、「降水量」が増えます。
では「積雪量」はどう変わるのでしょうか。
こちらは「気温」の変化の方が大きく影響します。
年間を通じて、1日に50cm以上の積雪がある地域はほとんど変わりません。
しかし、積雪量が50cm以上ある日が50日以上もある「雪の多い地域」は激減します。
積雪の多い北海道はあまり変わりませんが、本州においては富山県の一部以外は、雪の降る日数が大幅に減ります。
シカやイノシシの生息範囲が拡大する
これだけ大きく気候の変動があると、その影響は動植物にも及びます。
ここではシカやイノシシなどの野生動物の変化を見てみましょう。
ニホンジカの場合、あまりに雪の多い地域では生活できません。
そのため、積雪日数が減る2050年になると、生息可能範囲が拡大します。
具体的には、北陸地方や東北地方において、シカやイノシシなどの生息地が拡大するでしょう。
野生動物の場合は、気候以外の要素も影響します。
野生動物の生息数は、狩猟免許を持つハンターによってコントロールされてきました。
しかし、ハンターの減少と高齢化によって、うまくコントロールできない状況になりつつあります。
野生動物の生息数が増えることによって食害が増え、農作物の収穫や森林環境の維持に影響することが懸念されています。
今住んでいる地域の2割が無人になる
ここまで見てきたような気候や自然の変化は、日本人の生活にも影響を与えます。
最終的には、「2050年までに居住地域の2割が無居住化」するとされています。
もちろん、人口の減少の影響もありますが、自然環境の変化により里山での生活が影響を受けることも見逃せません。
無居住化、つまり廃村などで人が住まなくなる地域が多いのは、北海道と中国/四国地方です。
この結果、2005年の日本では、国土の5割に人が住んでいましたが、2050年には国土の4割に減少します。
帰郷や移住なども含め、長期の人生設計を考えるときは、このような将来予測も含めて検討してください。