2050年の東京、人口増加は都心が中心。「檜原村(ひのはらむら)」と「奥多摩町」は人口が4割以上減る
市区町村単位で見た2050年の東京
国の機関である「国立社会保障・人口問題研究所」のレポートから、2050年の東京都の人口と高齢化率について紹介します。
東京都は、2020年から2050年にかけての30年間で、唯一人口が増える都道府県です。
研究所の予測では、東京都の人口は2020年の1,404万人から、2050年には1,439万人に増加します。
増加率は2.5%でした。
しかし、市区町村単位でデータを見ると、東京都内の状況は単純なものではありません。
人口が大幅に増える地域もあれば、ほぼ半分になってしまう地域もあります。
この記事では、市区町村単位のデータをもとにして、「人口」と「高齢化率」について見ていきましょう。
都心の区は2割も人口が増える
市区町村単位で、もっとも人口が増えるのは「中央区」です。
中央区では、2020年から2050年に人口が24.7%も増えます。
つまり、2050年には2割以上も人口が増えることになります。
同じように、「港区」は20.0%、「千代田区」は19.7%増えます。
この3つの区は「都心3区」とも呼ばれ、東京都の中心と言うべき地域です。
つまり、「都心の人口は、2050年にむけて2割増える」と言って良いでしょう。
23区のほとんどは人口が増える
では、区部(23区)の他の地域はどうなっているのでしょうか。
2050年に人口が減るのは「江戸川区」と「葛飾区」の2つだけです。
つまり、「23区であっても東部の荒川沿いの区は、人口が減る」のです。
とはいえ、江戸川区でも2.7%、葛飾区は0.5%減るだけですから、ほぼ横ばいのようなものです。
ただし、他の23区が軒並み人口が増加するので、目立ってしまうのです。
西は人口が減り、東は人口が増える
次に、市部の状況を見てみましょう。
23区に接している東寄りの「武蔵野市」「狛江市」「調布市」「三鷹市」「西東京市」「小金井市」「国分寺市」は、人口が増加しています。
もう少し西に行った「立川市」「日野市」「八王子市」などは、人口が減少しますが、「10%未満」に留まっています。
さらに西に行くと「あきる野市」「福生市」「羽村市」「青梅市」のように、人口増加率が20%を超えてきます。
つまり、「市部は東寄りは人口が増え、西に行くほど人口が減る」のです。
人口が半分に減る「檜原村」
西の町村が含まれる「郡部」と、伊豆七島や小笠原が含まれる「島部」は、人口の減少が激しい地域です。
もともと人口が少ない「御蔵島村」を除いて、人口が増える地域はありません。
郡部では「檜原村(ひのはらむら)」は48.2%も減り、ほぼ人口が半分になります。
また「奥多摩町」も44.0%減ります。
島部でも、「新島村」が36.1%、「三宅村」が29.0%減ります。
「郡部」と「島部」については、極端に人口が減る地域があるので、注意が必要です。
人口が減る地域は、高齢化率が高くなる
最後に、「高齢化率」つまり、65歳以上の人口の割合を見て終わりましょう。
東京都全体の「高齢化率」は、2050年には29.6%になる見込みです。
しかし、市区町村によって、高齢化率には大きな差があります。順番に見ていきましょう。
まず、23区のほとんどは、高齢化率が20%台に留まっています。
市部では東寄りの市は20%台ですが、西寄りの市は30%台になります。
郡部は高齢化率が高い町村が多く、「檜原村」は「68.6%」、「奥多摩町」は「62.1%」です。
つまり、人口の6割以上が、65歳以上の高齢者という状況になります。
いくつかの例外はありますが、「人口が増える地域は高齢化率が低く、人口が減る地域は高齢化率が高い」と言って良いでしょう。
ここまで見てきたように、2050年の「人口」についても、「高齢化率」についても、東京都内の状況は一様ではありません。
「東京都は人口が減らないから大丈夫」と言う言葉で安心してはいけません。
自分の住んでいる、または住もうとしている市区町村が、どのような未来を迎えるのか、それを踏まえて長期の人生設計を考えてください。