2023年に廃業した企業は、倒産した企業の7倍。経営者の平均年齢は「70.9歳」
自主的な廃業は倒産より多い
企業情報サービスの帝国データバンクが、「2023年に発生した企業の休廃業・解散動向」のデータを公開しています。
企業が市場から退場する手段としては、法的手続きによる「倒産」が有名ですが、経営者による自主的な休廃業や解散も少なくありません。
2023年に休廃業または解散した企業は「5万9,105件」でした。
これは、倒産した企業数の約7倍にあたります。
余裕を持った廃業が多い
休廃業や解散をするというと業績の悪化による赤字などを考えがちです。
しかし、実は半分以上の企業は黒字です。
さらに6割の企業は資産の額が負債の額を上回る「資産超過」の状態です。
簡単に言えば、まだまだ余裕がある状態なのに、休廃業や解散してしまう企業が多いのです。
余力を残しているのに「あきらめ廃業」をしてしまう企業が多いのです。
無理に事業を続けて倒産に至るよりも、事業をたたむ方が望ましいという判断でしょう。
廃業した経営者の4割以上が「70代」
休廃業の理由の一つは「経営者の高齢化」です。
休廃業時の経営者年齢の平均は「70.9歳」でした。
「70代」は、全体の4割以上を占めています。
また、経営者の8割以上が「60代以上」でした。
帝国データバンクでは、「事業承継がスムーズに進まず、後継者へのバトンタッチができないまま代表者の高齢化が進み、休廃業・解散を余儀なくされている可能性がある」としています。
「士業(さむらいぎょう)」や不振な業種は事業を承継しにくい
もう一つの大きな理由が「業種」です。
前年比で最も増加したのは「税理士事務所」で、前年の30件から81件へと、2.7倍に増加しました。
また、「書店」は1.6倍、「中古車小売」も1.5倍に増加しています。
さらに、「パチンコホール」「社労士事務所」「会計事務所」なども休業や解散の割合が増えています。
これらの業種は、先行きが不透明であったり、個人の能力に依存するため状況の変化に対応しにくいなどの特徴があります。
また、税理士などの「士業(サムライギョウ)」は、国家資格を持っている個人が高齢化すると、事業が承継できず、廃業せざるを得ないのでしょう。
資格に依存する小規模な事務所については、どのように事業をたたむのかを考えておく必要があることが分かります。