「訪問介護事業」の倒産件数が過去最多。介護事業全体でも過去2番目の高い水準
[2024/1/28 00:00]
倒産は過去2番目の高水準
2023年の「老人福祉・介護事業」の倒産は122件でした。
デイサービスの「ステップぱーとなー」グループ31社が連鎖倒産した2022年には及びませんでしたが、過去2番目に高い水準となっています。
「訪問介護事業」の倒産は過去最多
倒産した会社を業種別に見てみましょう。
一番多いのは「訪問介護事業」で67件でした。
これは、昨年の50件から大幅に増えており、過去最多となりました。
このように「訪問介護事業」の倒産が増えたのは、ホームヘルパーの不足と高齢化、燃料費などのコストの上昇が影響したと思われます。
次に多いのがデイサービスなど「通所・短期入所介護事業」の41件でした。
休廃業と解散も過去最多
介護事業は零細な企業が多いため、倒産の手続きをしないで、廃業や解散を選ぶことが少なくありません。
2023年の休廃業と解散は510件でした。
これは、調査を開始した2010年以来、過去最多となりました。
このように増えたのは、経営が悪化したときに、早めに事業の継続を断念して解散を選択する事業者が増えたためです。
2024年も厳しい状況が続く
2024年度には介護保険の介護報酬が改定されます。
これにより、職員の賃上げなど処遇の改善が進むことが期待されています。
しかし、他業界との人材獲得競争は激しく、人手不足の解消は難しいでしょう。
また、規模の大きい保険会社やファンドなどが介護事業に参入する例が増えており、人材を得るための競争に拍車をかけています。
これらの条件を考えると、2024年においても、小規模な業者が置かれた厳しい状況が続くと思われます。