金利が「0.5%」上がるだけで、利益が「136万円」も減る。日銀マイナス金利政策の解除が企業の経営を直撃

[2024/3/22 00:00]

「超低金利の世界」から「金利のある世界」に

日本銀行は、マイナス金利政策の解除を正式に決定しました。

これにより、個人や企業が借りるお金についても、今後は金利が上がっていきます。

帝国データバンクでは、金利が上昇したときに、企業に対してどれぐらい影響が出るかというシミュレーション結果を公開しています。

これまで、約17年間に渡って続いてきた「超低金利の世界」から、「金利のある世界」に変わることによる大きな変化が実感できます。

金利が「0.5%」上がるだけで利益が「136万円」も減る

シミュレーションによれば、企業の借入金利が「0.5%」上昇すると、企業1社当たりの平均で年間「136万円」の利息負担が新たに発生し、経常利益を「平均4.6%」押し下げることが分かりました。

つまり、金利が「0.5%」上がるだけで、利益が「136万円」も減るのです。

さらに、金利が「1%」引き上げられると、利息負担は年「273万円」も増加し、赤字へと転落する企業は「7.1%」になります。

金利が「2%」に上昇すると、利息負担は年に「545万円」の増加で、経常利益は平均で「18.2%」減少し、赤字へと転落する企業が全体の1割を超えてしまいます。

出典:帝国データバンク

経営も変わる必要がある

帝国データバンクによれば、2023年度に借り入れられた借金の平均利息は「0.98%」でした。

金利が1%を切っているのは、かなり稀な状況です。

今回のシミュレーションにより、この金利が数%上がるだけで、企業の経営に大きな影響を与えることが分かりました。

そして、遅くとも今年の後半からは、借入金の金利はゆるやかに上昇していくでしょう。

急に大幅な金利の引き上げが行なわれて企業経営に打撃を与える可能性は高くありません。

しかし、これまでの低金利に慣れきった借入金の多い経営を続けていけば、金利によるダメージが蓄積して赤字への転落や倒産への道筋をたどることになります。

出典:帝国データバンク
[シニアガイド編集部]