介護保険で利用できる老人施設に入居している人の95%は認知症の症状がある
利用するには、要介護認定を受けていることが前提
「老人ホーム」には、対象となる人や、拠って立つ制度、運営する団体などによって、たくさんの種類があります。
ここでは、介護保険で利用できる老人ホームである「介護保険施設」を紹介します。
介護保険施設は、介護保険サービスで利用できる公的な施設です。
介護保険制度の一部ですから、入所している在所者は介護保険の「要介護認定」を受けている必要があります。
つまり、ある程度、身体状態が悪く、生活に支障がある人が対象です。
在所者の80%以上が「80歳以上」
介護保険施設の在所者のプロフィールをグラフで見ていきましょう。
在所者の年齢は高く、「80歳以上」が82%、「90歳以上」でも37.4%を占めます。
女性在所者が77%
高齢者が多いこともあって、女性の比率が高く、「77.4%」が女性です。
在所者の95%以上が認知症
介護保険施設の在所者は、認知症を患っている割合が高く95%を超えています。
グラフは「介護老人福祉施設(特養)」のものですが、ほかの施設でも、ほぼ同じ状況です。
在所者がたどるコース
介護保険施設は、3種類あります。
- 介護老人保健施設(老健):要介護
- 介護療養型医療施設(療養病床):要介護
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム 略称:特養):要介護3以上
どこから入所して、どこへ退所するかというコースから見ると、施設の性格がわかります。
「老健」のコース
介護老人保健施設(老健)で一番多いコースは、病院から入所し、退所後も病院へ戻るという「病院→施設→病院」です。
次に多いのが「家庭→施設→家庭」です。
つまり、老健は、ケアやリハビリを行なって、医療機関や在宅介護へ戻るための施設です。
老健の平均在所日数は299日ですから、だいたい10カ月ほどです。
「療養病床」のコース
介護療養型医療施設(療養病床)で多いコースは、「病院→施設→病院」ですが、二番目に多いのは「病院→施設→死亡」です。
療養病床は、医療措置が必要で、要介護度が高い人が対象です。本来は状態が良くなってきたら退所して復帰することを目的としていますが、最後を看取る場となることもあるのです。
療養病床の平均在所日数は491日ですから、だいたい1年半ぐらいが目安となります。
「特養」のコース
介護老人福祉施設は、老人福祉法では「特別養護老人ホーム」と呼ばれます。「特養」という通称なら聞いたことがある人も多いでしょう。
「特養」は、3つある介護老人福祉施設の中でも、一番症状が重い人が入所する施設で、「要介護3」以上の認定が必要です。
特養で一番多いコースは、「家庭→施設→死亡」です。
二番目に多いコースは「家庭→施設→病院」です。
特養は、在宅で介護がむずかしくなった高齢者のための介護施設で、入所期間に制限がありません。
したがって、平均在所日数も長く、1,284日、つまり約3年半に及びます。
月額費用は10万円前後
介護保険施設の月額利用料は、平均で7万5千円~9万2千円です。
介護保険施設は介護保険の一部ですから、要介護度や収入によって、金額が変わります。だいたい10万円前後と考えておきましょう。
ただし、個室などでは費用がかさむ場合もあります。
入所の際には、ケアマネージャーに相談して、家庭の状況に合った施設を探してもらいましょう。