産業カウンセラーに「自分自身の生き方」を相談している50代は、何を悩んでいるのか

[2018/6/6 00:00]

産業カウンセラーに「生き方」を相談する人々

一般社団法人 日本産業カウンセラー協会が公開した、2017年度の利用状況レポートを見ていて、意外なことに気が付きました。

このレポートは、協会が行なっている有料対面相談と、無料電話相談「働く人の悩みホットライン」に寄せられた内容を分類したものです。

ちょっと意外だったのは、寄せられた相談のうち、「自分自身のこと」が「職場の問題」と同じぐらい多いのです。

特に、有料の対面相談に限ると、「自分自身のこと」は34.8%を占めており、「職場の問題」の32.7%を抜いて、一番多い相談内容なのです。

そして、「自分自身のこと」の内容の4割以上は、「生き方」なのです。

いったい、自分の「生き方」について、お金を出して相談しているのは、どんな内容なのでしょう。

近年増えている「50代」と「60代」から寄せられたものに限定して、その内容を紹介しましょう。

対面相談に寄せられた例

  • 雇用延長で退職は伸ばせることになったが、給料は下がる。自分から辞めると言い出す勇気もない。人生の区切りを見失ってしまった気がする。【50代男性】
  • 定年退職し7年目。趣味は多いが充実感がない。【60代男性】
  • 親の介護がやっと終わったと思ったら、配偶者がガンになってしまった。自分の時間を取れると楽しみにしていたのに、私の人生は何だったのか。【60代女性】
  • 夫を病気で亡くし、自分もまた持病を抱えている。今後の自分の問題を考えたい。【50代女性】
  • 自分の仕事との向き合い方に疑問を感じている。【50代男性】

電話相談に寄せられた例

  • 退職直後は解放感でいっぱいだったが、妻はまだ働いていて申し訳ない気持ちもある。今後どうやって生きていこうかと考えてしまう。【60代男性】
  • 在職中は会社中心の生活を送っていた。退職後の生活で家や地域中心の生活にうまく転換できない。【60代男性】
  • 年金受給資格がなく、今の住まいを出ていくことになり、今後の生活が不安。【60代男性】
  • 現在は無職。以前の職場ではパワハラを受けていて、今は、息子の嫁が攻撃をしてくる。今後どう生きていけばよいのだろうか。【60代女性】

働き方の悩みは、自分自身の生き方の悩みに通じる

このように相談内容を見ていると、「定年退職」や「雇用延長」などの職場の悩みが、自分自身の生き方への疑問につながってしまった例が多いようです。

特に男性の場合、会社での評価や身分が、自分自身への自負につながっていることが多いため、退職と同時に目標を失っている例が見受けられます。

また、「健康」や「経済問題」「人間関係」など、人生における普遍的な悩みも寄せられています。

産業カウンセラーの仕事は、心理学的手法を用いて働く人たちが抱える問題を自らの力で解決できるよう援助することです。

例えば、健康について、医師を紹介するなどの具体的な解決方法を紹介してくれるわけではありません。

しかし、「職場、暮らし、家族、将来設計など、働くうえでのさまざまな悩み」に対する相談をする窓口として貴重な存在です。

働き方や、それに伴う自分の生き方に悩んだときに、利用できる相談窓口として覚えて置きましょう。

[シニアガイド編集部]