「介護休暇」と「介護休業」を知っている人は半分以下。利用した人は数%止まり
介護経験者へのアンケート
介護資格学校「日本総合福祉アカデミー」が、「介護離職に関する意識調査」の結果を公開しています。
2019年2月に行なわれたインターネットアンケートには、介護経験のある40歳以上の男女457人が回答しています。
この記事では、アンケートの結果をもとにして、介護と仕事をどうすれば両立できるのか考えてみましょう。
介護に関わる3つの制度
介護に関する3つの公的な制度について、それを知っているかと、利用したかを聞いています。
最初の「介護保険」は、申請して認定を受けると、介護やリハビリなどのサービスを1~3割の負担で利用できる制度です。
家族の介護については、介護保険を利用することが前提となります。
この「介護保険」について、「良く知っている」と「知っている」を合わせると、70%以上の人が認識しています。
しかし、実際に「介護保険」を利用している人は、半分に留まっています。
「介護休暇」と「介護休業」は、介護をする側の人が、仕事の休みを取るための制度です。
「介護休暇」は要介護状態にある家族がいると、1人当り年5日以内で休暇が取れます。休暇は半日単位で取ることもできます。
同じように「介護休業」は、要介護状態にある家族1人について3回まで、通算93日まで休みが取れる制度です。
しかし、「介護休暇」と「介護休業」については、知っている人は半分もいません。しかも、利用している人は数%に留まっています。
「介護休暇」や「介護休業」は、公的に認められている制度ですから、できるだけ利用しましょう。
会社に相談する人は少ないが
なお、「介護をすることになったときに、会社に相談した」人は、23%しかいません。
つまり、4人に1人にも足りません。
しかし、「介護休暇」や「介護休業」を取るためには、会社との協力が必要です。
介護が始まったら、会社に相談することが大前提と思った方が良いでしょう。
介護離職をした人は「9%」
介護をするために会社を辞めてしまう「介護離職」について、「考えたことがある」人は20%でした。
すでに「介護離職の経験がある」人も9%います。
「介護離職を考えた理由」として一番多いのは、「仕事と介護の両立が難しい」でした。
しかし、いったん介護離職をしてしまうと、これまで蓄積してきたキャリアも無駄となってしまいます。
再び職につくことが難しくなりますし、再就職できた場合でも雇用条件が悪くなります。
個人で抱え込んで、介護離職をするのではなく、「施設」や「職場」などの周りの力を借りて、仕事を続けるようにしましょう。
「介護」と「仕事」に分けて相談先に行く
「介護」が始まったときに「なにから始めたらいいのかわからない」と困る人が多いでしょう。
まず、「介護」と「仕事」に分けて、それぞれの相談先に行くことから始めましょう。
家族の介護については、もよりの「地域包括支援センター」か、役所の福祉介護部門に相談しましょう。この場合、「介護保険」の認定を受けることが第一歩となります。
自分の仕事については、会社の上司か総務部門に相談しましょう。この場合の目標は、「介護休暇」や「介護休業」を取れるようしておくことです。さらに、介護と両立できるような勤務体制ができれば言うことはありません。