生活を立て直すきっかけとなる資金を借りる「生活福祉資金貸付制度」

[2019/3/12 00:00]

生活を立て直すきっかけを作るための資金

例えば、失業などが原因で収入が途絶えたり、住まいを失ってしまったときに、元の生活に戻るには、ある程度の資金が必要となります。

そういうときに覚えておきたいのが、社会福祉協議会による「生活福祉資金貸付制度」です。

これは、働きたくても働けない、住む所が無いような人に、一定の資金を貸し出す制度です。

ぎりぎりの状態に追い込まれたときに、生活を立て直すきっかけを作るための資金としておぼえておきましょう。

資金と支援がセット

「生活福祉資金貸付制度」は、どんな制度なのでしょう。

この制度の最大の特徴は、単にお金を貸し付けるだけではなく、生活を立て直すための支援がセットになっていることです。

基本的に、民生委員による相談が行なわれます。

さらに、一部の用途では「生活困窮者自立支援制度」の利用が条件となります。

「生活困窮者自立支援制度」は、生活保護の一つ手前のセーフティネットで、職業訓練や家計相談などの支援を行なう制度です。

つまり、「生活福祉資金貸付制度」の対象も、生活保護制度の前の段階で、生活を立て直そうとしている人とイメージすれば良いでしょう。

「低所得」など3つの世帯が対象

「生活福祉資金貸付制度」が、対象としているのは、次の3つの世帯です。

  • 低所得世帯
    住民税が非課税となっている程度の経済状況が目安
  • 障害者世帯
    身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けているか同等の障害がある人
  • 高齢者世帯
    65歳以上で、療養や介護が必要な高齢者の属する世帯

住民税が非課税になる条件は、地域によって異なりますが、だいたいの目安は、単身世帯であれば年収100万円前後、扶養者が1人であれば年収150万円前後です。

世帯単位で借りるのが特徴

「生活福祉資金貸付制度」の特徴を挙げてみましょう。

  • 世帯の生計を支えている人が申し込む、世帯単位の貸付
  • 民生委員が相談支援を行なう
  • 他の制度が優先され、申込の際に他制度の利用ができないか確認される
  • お金を「借りる」制度なので、返済の義務がある
  • 原則として連帯保証人が必要とされる。連帯保証人が無いと貸出利率が高くなる
  • 貸出にあたって審査があり、貸出までにある程度の期間が必要

いくら借りられるか

では、「生活福祉資金貸付制度」で、いったいどれぐらいの資金が借りられるのでしょう。

「生活福祉資金貸付制度」は4つの種類があり、20以上の用途が用意されています。生活費や医療費、介護費用、教育費など、用途の幅が広いのが特徴です。

貸出可能な金額も、失業者を対象にした「緊急小口資金」の10万円から、不動産を担保とする数百万円単位までの幅があります。

まず、「生活福祉資金一覧」のPDFファイルを見て、自分が使える資金がないかをチェックしてみましょう。

利息は、連帯保証人がいる場合は「無利子」、いない場合は「1.5%」が基本です。

相談窓口は社会福祉協議会

「生活福祉資金貸付制度」の借り入れ相談は、もよりの「市区町村社会福祉協議会」が窓口になります。

社会福祉協議会の場所は、「都道府県・指定都市社会福祉協議会」のリンクからたどれます。

誰かに相談することで開けてくる道もある

資金的に追い込まれた生活をしていると、高い利息がかかる借金を抱えてしまいがちです。

そういうお金に手を出す前に、「生活福祉資金貸付制度」が利用できないか検討してみましょう。

もし、自分の条件が「生活福祉資金貸付制度」の規定から外れていても、あきらめずに相談に行きましょう。

「生活福祉資金貸付制度」は、他の制度が利用できないかというチェックも入るので、自分が利用できる制度を紹介してもらえる可能性がありますから、それだけでも相談に行く価値があります。

誰かに話してみることで、生活を立て直す道筋が見えてくるかもしれません。

[シニアガイド編集部]