生活保護を受けている「高齢者世帯」は増え続けている
「生活保護」は最後のセーフティネット
生活保護は、何かの原因で困窮したときに、最低限度の生活を保障する国の制度です。
つまり、生活に困ったときに、最後に頼るセーフティネットとして用意されている制度です。
この記事では、厚労省の調査をもとに生活保護の現状を紹介します。
生活保護世帯は増え続けている
生活保護は、「個人」ではなく、「世帯」を対象にした制度です。
対象となっている「世帯」の数を見ると、20年ほど前から増え続けています。
2017年度の平均世帯数は「164万世帯」で、前年よりも3千世帯以上増えました.
「高齢者世帯」が半分以上を占める
生活保護を受けている世帯の種別を見てみましょう。
一番多いのは、世帯が65歳以上のみか、それに18歳未満が加わった「高齢者世帯」です。
高齢者世帯は、生活保護を受けている世帯の半分以上を占めています。
次に多いのが障害や病気が原因の「障害者/傷病者世帯」です。
「障害者/傷病者世帯」は、全体の4分の1を占めています。
そして「その他の世帯」「母子世帯」と続きます。
「高齢者世帯」のみが増え続けている
ここ10年ほどの動向をみると、「高齢者世帯」が増え続けています。
それ以外の「障害者/傷病者世帯」「母子世帯」「その他の世帯」などは減っているのです。
年金が無いなどの理由で、生活が困窮している高齢者世帯が増えたことによって、他の種別の世帯が圧迫されている可能性があります。
生活保護を受けている人は減り始めている
最後に、生活保護の対象を世帯単位でなく、人数で見てみましょう。
おおまかな増減は、世帯単位で見たグラフと同じですが、一つ違いがあります。
対象人数で見ると、2014年の「216万5千人」をピークにして、それ以降は減ってきているのです。
つまり、世帯数は増えているのですが、1世帯当りの人数が減っていることが分かります。
まずは、役所の窓口で相談を
ここまで見てきたように、現在の生活保護には、いくつかの兆候が表れています。
- 対象世帯の半分は「高齢者世帯」が占めている
- ここ10年ほどは「高齢者世帯」のみが増え続けている
- 世帯数は増えているが、対象人数は減っている
これらの兆候を見る限り、生活保護全体の全体の予算が限界に来ており、対象人数が抑えられているように見えます。
また、収入を増やす手段に乏しい「高齢者世帯」が優先されている可能性も高いでしょう。
生活保護を受けることを考えるときに、生活保護制度がこういう状況であることを知っておくのは無駄ではありません。
ときどき「老後の生活は生活保護に頼るから」と安易に口にする人がいますが、そう簡単に頼れるような存在ではなくなりつつあります。
それでも、どうしても生活に困ったときは、もよりの役所の窓口に、堂々と相談に行きましょう。
もし、本当に必要であれば通る可能性は高いですし、そうでなくても、生活を支えるための制度は、意外とたくさん用意されているものです。
それらの制度を利用するためにも、窓口に相談に行ってきっかけを作りましょう。