二人以上の家庭の8割以上が「老後」を心配している
二人以上の家庭へのアンケート
日銀の関連団体である金融広報中央委員会が「家計の金融行動に関する世論調査」の結果を公開しています。
この調査には、「単身世帯調査」と「二人以上調査」がありますが、今回は夫婦を中心とする「二人以上調査」を紹介します。
2019年6月から7月にかけて行なわれた面接と郵送による調査には、全国の3,222世帯が回答しています。
ここでは、老後生活と年金についての調査結果を紹介します。
8割以上の人が「老後が心配」
最初に「老後の生活への心配」について聞いています。
回答を見ると、「多少心配である」と「非常に心配である」が、それぞれ4割を超えています。
つまり、程度の差はありますが、「老後が心配である」と考えている家庭が8割を超えているのです。
なお、過去10年間の調査結果を見ても、「心配である」は常に8割を超えており、老後への不安が根強いものであることが分かります。
不安の理由は「年金」と「お金の不足」
「老後の生活を心配している理由」で一番多いのは「年金や保険が十分ではないから」でした。
7割以上の人がこれを挙げています。
次に多いのは「十分な金融資産がないから」で、こちらも7割近くの人が挙げています。
老後の不安は、年金制度への不信と、手持ちの現金や預貯金の不足が原因なのです。
老後を心配している理由(上位5つ)
- 年金や保険が十分ではない 73%
- 十分な金融資産がない 69%
- 現在の生活にゆとりがなく、老後に備えて準備(貯蓄など)していない 39%
- 退職一時金が十分ではない 28%
- 生活の見通しが立たないほど物価が上昇することがあり得る 24%
年金に対する感じ方は真っ二つに分かれている
二人以上の家庭では、年金制度について、どう感じているのでしょうか。
調査結果を見ると、「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と「ゆとりはないが、日常生活費程度はまかなえる」は、ほぼ差がありません。
つまり、年金だけで日常生活を送れるかどうかという判断は、真っ二つに分かれています。
それでも、「ゆとりはないが、日常生活費程度はまかなえる」は、一人暮らしの人を対象にした調査の35%から47%まで増えています。
これは、二人以上の家庭では、夫婦二人分の年金が入るあてがあるからでしょう。
例えば、2019年度の「夫婦二人分の厚生年金を含む標準的な年金額」は221,504円で、一人分の年金しかもらえない単身世帯に比べると多くなっています。
とはいえ、「年金でさほど不自由なく暮らせる」と考えている人は、わずか4%しかいません。
年金だけで暮らせると考えている人でも、年金だけで余裕のある生活ができるとは思っていないことが分かります。
「公的年金」が柱だが、それ以外の収入源も用意する
最後に「老後の生活の収入源」として想定しているものを、3つまで挙げています。
一番多いのは「公的年金」で、8割近くを占めています。
次にくるのが「就業による収入」「企業/個人年金、保険金」「金融資産の取り崩し」の3つでした。
多くの家庭では、公的年金を柱とした上で、長く働き続けることや、企業年金、現役時代の預貯金などで補うことを考えているようです。
調査結果からも分かる通り、公的年金だけに頼っていては老後に不安が残ります。
できるだけ早い時期から、公的年金以外の収入を準備することを考えましょう。