国民生活センターによる車椅子の耐久試験で壊れる製品が続出
低価格の車椅子をテスト
国民生活センターが、車椅子の実車テストの結果を公開しています。
今回のテストの対象となったのは、実売価格が3万円未満の低価格な自走用手動車椅子です。
国民生活センターが購入した6製品のうち、3製品は、JIS規格で定められている走行耐久試験を通過できず、部品の破損などを起こしました。
販売されている車椅子の、ごく一部とはいえ、テスト用に購入した製品の半分が、JIS規格の試験を通過できなかったというのは驚くべき結果です。
20万回も段差を越える走行耐久試験
今回行なわれた走行耐久試験は、JIS T 9201という規格で定められているものです。
- 車椅子には、100kgの重りを載せる
- 車椅子のタイヤを回転するドラムに接するように置く
- ドラム1回転ごとに、1回段差を乗り越えるようにする
- ドラムを20万回回転させる
なお、民間規格である「SGマーク」の走行耐久試験も、同じ内容です。
つまり、この試験が、耐久性の高い車椅子を判断する目安となっているのです。
結果は、下の表の通りでした。
もっとも早く壊れた製品は、20万回の試験のうち、約2万回で破損してしまいました。
なお、JISやSGマークの認定を受けた製品は、無事に20万回をこなしています。
壊れた製品の破損の内容は、フレームやスポークが折れるなど、人が乗ってれば事故につながりかねないものです。
消費者への2つのアドバイス
国民生活センターでは、車椅子を購入する際の注意点として、次の2つを挙げています。
手動車椅子をお持ちの方は、各部を詳細に点検し、破損や不具合がないか確認しましょう。破損や不具合が見つかった場合は使用を中止し、入手先や製造事業者等へ確認しましょう
手動車椅子の破損に伴う危害・危険事例が寄せられています。中には転倒や壁への衝突によって重傷を負った事例もありました。
使用中にフレームや車輪などの各部が破損した場合はバランスを崩し、転倒や事故につながるおそれがあります。
手動車椅子をお持ちの方は各部を詳細に点検し、破損や不具合がないか確認しましょう。破損や不具合が見つかった場合は使用を中止し、入手先や製造事業者、専門業者へ確認しましょう。
また、手動車椅子を安心して安全に使用するためには、定期的に詳細なメンテナンスを実施することも重要です。
複雑な作業や作業に自信がない場合は、入手先や製造事業者、専門家※のいる店舗などへ確認しましょう。
※車いす安全整備士:一般社団法人日本福祉用具評価センター認定資格
手動車椅子を入手する際には、今回のテスト結果を参考にするほか、JISマークやSGマーク等を取得している耐久性のある商品を選ぶとよいでしょう。
手動車椅子の走行耐久性をJISに準拠したテストで調べた結果、同様の価格帯の商品であっても耐久性に差があることがわかりました。
JISやSGの基準を満たすか否かは、製造または販売事業者の任意ですが、JISやSG認定品であれば、安全性等の観点から一定の基準を満たした商品です。
手動車椅子を入手する際には、今回のテスト結果を参考にするほか、JISマークやSGマーク等を取得している耐久性のある商品を選ぶとよいでしょう。
車椅子は、身体に不自由がある人が利用する機器だけに、安全性には注意が必要です。
今回のテストで判明したように、低価格でも耐久性のあるきちんとした製品はあります。
車椅子を購入する際は、国民生活センターの注意をもとにして慎重に検討してください。