東京都の「昼間人口」と「夜間人口」は2025年がピーク

[2020/4/10 00:00]

2040年までの昼間人口を予測

東京都が、2040年までの人口予測を公開しています。

今回の予測の特徴は、「昼間人口」を中心にしているところです。

「昼間人口」とは、そこに住んでいる「常住人口」に、他の地域から通勤や通学のために流入してくる人口を加えたものです。

そして、「常住人口」のことを「夜間人口」とも呼びます。

東京都は、通勤通学のために周辺の県から人が集まるので、ほとんどの市区で、昼間人口が夜間人口よりも多くなります。

今回の予測では、2015年に行なわれた国勢調査のデータをもとにして、2040年までの昼間人口と常住人口を予想しています。

2020年の数字は、現在の実績ではなく、2015年のデータをもとにした予測であることに注意してください。

2025年をピークに減少が始まる

東京都全体の昼間人口は、2025年まで伸びて「1,657万人」に達します。

そして、それをピークに少しずつ減っていきます。

2040年には「1,578万人」まで減り、2015年よりも少なくなります。

常住人口も同様で、2025年がピークとなり「1,422万人」に達します。

2025年から2040年までは少しずつ減っていきますが、それでも2040年は「1,365万人」で、2015年よりも多くなっています。

出典:東京都のデータをもとに編集部が作成

これらのことから、次の2つが分かります。

  • 東京都の人口は、昼間人口も夜間人口も2025年がピーク
  • 2030年以降は人口が減少するが、2040年の時点でも2015年と同じ水準は維持できる

つまり、東京都全体の人口は、2040年までの20年間は、今よりも増えるか、同じぐらいの状態が続きます。

「多摩/島嶼(とうしょ)」の人口は減り始める

東京都の人口は、2040年までは維持できることが分かりました。

しかし、東京全体がそうなのではありません。

東京を「区部(23区)」と、「多摩/島嶼(とうしょ:島)」に分けて見てみましょう。

「区部」の人口は、2025年から2030年をピークにして増え続け、その後は減っていきます。

ただし、2040年になっても、2015年よりも多くなっています。

出典:東京都のデータをもとに編集部が作成

一方、「多摩/島嶼」の場合、ピークは2020年と早くなります。

2025年から減り始め、2040年には、2015年を下回ってしまいます。

つまり、「区部」はこれからも人口が増え続けますが、「多摩/島嶼」はすぐに人口が減り始めると予想されています。

出典:東京都のデータをもとに編集部が作成

都内の別の地域に移動している人が多い

次に、通勤通学による人口の移動の状況について見てみましょう。

周辺の県などの「都外」から、「都内」に移動してくる人は、2015年には「290万人」でした。

2040年になると、少し減って「263万人」になります。

一方、都内から都外へ通勤通学する人は「50万人」で、2040年になっても、ほぼ変わりません。

しかし、一番多いのは「都内」から、同じ「都内」の別の地域に移動する人です。

2015年に「739万人」で、県外から流入してくる人口の2倍を超えています。

東京都では、都外から通勤通学する人よりも、都内で移動している人の方が、2倍以上も多いのです。

そして、それは2040年になっても変わりません。

東京都は、周辺の県から流入が多いだけではなく、都内での移動も多い地域なのです。

出典:東京都のデータをもとに編集部が作成

住まいを決めるときに参考になるデータ

ここまで、東京都の人口予測を見てきました。

これらの情報は「どこに住むか」を考えるときに大変役に立ちます。

例えば、人口の変化を知っていれば、次のような判断ができます。

23区内にマンションを買おうと考えたときに、「区部であれば、人口が増え続けるから、万が一売るときでも、値段が下がりにくいだろう」と判断できます。

逆に、「多摩」の人口が減少することを知っていれば、「これから土地や建物の値段が下がる可能性が高いから、都内もで一戸建てが狙えるかもしれない」と考えることもできます。

一方で、人口が減ることが分かっていれば、商店や交通機関などにも注意が向くでしょう。

また、今回の報告書では、都内の市区町村別に、どこからどこへ通っているのかというデータも公開されています。

例えば、下の地図では、「千代田区」に通っている人がどこに住んでいるかということが分かります。

住まいの条件を考えるときに、「やっぱり、毎日通えるのは、この範囲なんだ」と納得できます。

あなたが、都内に住んでいたり、これから住むのであれば、今回の報告書をチェックすることをおすすめします。

出典:東京都
[シニアガイド編集部]