新型コロナの不安につけこんで、「転売で簡単に儲かる」と誘うビジネス

[2021/2/16 00:00]

転売で儲かる方法を売る手口

国民生活センターが、「転売ビジネス」による相談が増えていると警告しています。

「転売ビジネス」とは、「安く仕入れた商品をフリマサイトで高値で転売する」などキャッチフレーズで、副業の方法などを紹介する手口です。

例えば、「商売に必要なノウハウを、サポート付きで50万円で売る」など、高額なサポート料を請求します。

そして、思ったほど売れずに儲からない場合でも、サポート料などは返金されません。

まず、手口の実例を見てみましょう。

実例1:130万円の契約をしたが、作業が難しくてできない

「誰でも稼げる」というセミナーが開催されているとインターネットで知り、参加した。

海外の通販サイトで商品を選び、日本のクラウドファンディングのサイトで紹介・転売するという話を聞いた。

海外の通販サイトで便利そうな工具用品をみつけたので、試しにセミナーの講師に見せてみると「この商品で300万円は儲かる」と言われた。

その気になり、もっと具体的に儲ける方法を教えてもらうために、スキル向上指導などの名目で130万円の契約を申し込むことになった。

「先に日本のクラウドファンディングのサイトに売れそうな商品を出品し、売れてから海外サイトで実際に商品を仕入れる」と説明され、やってみたが数万円しか売れなかった。

またセミナーでは説明されなかったが、商品を日本で独占販売できるよう海外の事業者に英語でメールを何百件と送るなどの作業が多く、難しくてできない。

簡単には稼げないので解約したい。(40代男性)

この実例のように、高額なサポート料を払って業者の指示通りに作業しても、必ず利益が出るわけではありません。

出典:国民生活センター

また、あまりにも高額なサポート料を払うことをためらう人もいますが、その場合は「返金保証」などの言葉で誘います。

もちろん、実際にはなんらかの理由をつけて返金は行なわれません。

こちらも実例を見てみましょう。

実例2:返金保証もあると言われたが、商品は売れず返金もされない

インターネットで「ネットビジネス」と検索し、「安く仕入れた商品をフリマサイトで高値で転売する」という副業を紹介する事業者をみつけ、1万円でガイドブックを購入した。

その後、事業者から電話があり「この副業にサポートがついている50万円のコースがある」「万が一、儲からなかったら返金保証もある」と説明され、クレジットカードで10万円支払い、残り40万円を銀行口座に振り込んだ。

事業者のサポート通りにフリマサイトに商品を出品したが、買い手がつかず利益がでないまま仕入れの費用だけがかさんでいる。

事業者に返金保証について問い合わせたが、「あなたは返金保証の対象ではない」と言われた。

返金保証には、指定商品の販売をすること、フリマサイトで150人以上からフォローされていることなどが条件のようで実現できそうにない。返金してほしい。(20代女性)

本当に儲かる仕事なら、セミナーで教えたりしない

国民生活センターでは、「転売ビジネス」について、次のように注意を呼びかけています。

  • 「簡単に儲かる」などの広告や、SNS上の友人等からのうまい話をうのみにしないようにしましょう。
  • 転売ビジネスを始めるために高額な費用が必要といわれたら要注意です。
  • 「リスクなし」「必ず稼げる」わけではありません。禁止された転売にも注意しましょう。
  • トラブルにあった場合は、消費生活センター等(Tel.188)に相談しましょう。

国民生活センターによれば、「転売ビジネス」の被害者は、コロナウイルスによる世相を反映して、「将来が不安だ」「アルバイト収入が減った」などの理由で、簡単に儲かる仕事を探す人が多いといいます。

しかし、そんなに簡単に儲かる仕事であれば、それを見つけた人が自分で実行して商売にしているはずです。

それをせずに、商売の方法をネタにしたセミナーなどを開催しているという時点で、実は簡単に儲かる方法ではないことが分かります。

生活や将来に対する不安から逃れるために副業を探すことは間違いではありませんが、それを狙う業者の罠(ワナ)にはまらないように注意してください。

[シニアガイド編集部]